出版社内容情報
七人の孤児のたどった人生を中国の現地取材によってあとづけ、帰国後に惹き起こされるさまざまな問題を浮き彫りにしたドキュメント
内容説明
「中国残留孤児」の軌跡。七人の孤児たちの人生を中国に現地取材し、帰国後の問題を浮彫りにしたノンフィクション。
目次
第1章 12月9日の再会
第2章 孤児たちの日本の宿
第3章 旧満州への遠い道
第4章 飢えと病気のトンネルを―孫玉琴=斎藤恵子の場合
第5章 集団自決に生き残って―張桂珍=石丸美知子の場合
第6章 兄と妹の旅路―李宝金=前川清子と趙福奎=前川健二の場合
第7章 アカシアの町の姉と妹―孫淑娟=大畑友子と王淑栄=寺川幸子の場合
第8章 凍土漂浪―崔文傑=田辺茂雄の場合
第9章 帰った人・とどまった人
第10章 雁山の夕の雲
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫苑
1
先頃亡くなった山崎朋子氏が、中国残留孤児の肉親捜しとその後を追ったノンフィクション。肉親と再会できた人、できなかった人。帰国した人、中国にとどまった人。それぞれの人生はとてつもなく重い。結論は、終章のまとめに尽きると思う。帰国までの日本政府の支援はそれなりに充実していたが、帰国後のフォローは手薄で、民間の善意に負うところが大きい。今の留学生や実習生、外国人労働者に対するのと同じ現実があった。侵略政策の落とし子である中国残留孤児に対する処遇は、戦争の総括がきちんとなされていないことを如実に反映している。2018/12/14