出版社内容情報
戦国から江戸にかけての忍者を主人公にした7つの短篇集。忍者同士でさえ裏切り殺しあう時代、人の心を捨てた者たちの浮沈を描く。
内容説明
「光秀が生きていたぞよ」。山崎の合戦で明智光秀の首を取り、甲賀から離れた小五郎に、かつて命を救った仲間の助七がささやく。驚愕と執念に翻弄される小五郎。だがその背後には幾重もの陰謀があった―。戦国から江戸へ、世情とともに移り変わる忍者たちの葛藤と悲哀を、乾いた筆致で描き出す七つの短編。
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
大正12(1923)年、東京に生まれる。昭和30年、東京都職員を退職し、作家生活に入る。新国劇の舞台で多くの戯曲を発表し、35年、第43回直木賞を「錯乱」によって受賞。52年、第11回吉川英治文学賞を「鬼平犯科帳」その他により受賞する。63年、第36回菊池寛賞受賞。平成2年5月3日没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とん大西
105
翻弄する忍び、される忍び…いいですね、哀愁もあって。戦国から江戸初期にわたる選りすぐりの忍者短編集。池波さんの忍者モノなら先ずはハズレなしです。ハードボイルドな忍びの世界観の中でどこか人間臭さが漂っているあたりが滑稽でもあり、悲しげでもあり。ハラハラしたものの案外ほっこりした「寝返り寅松」のすわりのよさょ。「首」もいい。仕止めたはずの明智光秀はまさかの影武者だったか。その生死に執着を捨てきれなかった小五郎の生きざまがなんとも…。2023/02/14
優希
79
忍者の群像劇が格好良かったです。戦国時代末から江戸時代にかけての忍者たちの活躍や葛藤、悲哀が感じられました。そのせいか、忍者に人間味があります。時代が時代なだけに生々しさや泥臭さも見えますが、池波作品らしい面白さでした。2016/03/02
pdango
16
★★★★☆2022/12/31
シュラフ
16
忍者という異形の生きざま。本来 何らの感情も持たず、掟を守って行動するその生きざまである。だが、忍者といえども人の子であり、感情もあれば人情もある。あくまで掟を守ることに窮屈をおぼえた時に人間ドラマが生まれる。この本にはそんな短編7作である。掟を破った忍者の最後は悲惨な運命なのであるが、『寝返り寅松』の寅松は最後まで生き長らえて再び家族とともに暮らすこととなる。小説の中の話とはいえ、ほっとする。2014/07/13
りこ
14
今までの忍者のイメージとは違った人間性あふれる一冊、個人的には、戦陣眼鏡が一番好きです。乱世から遅れて生まれ己をもて余す忠善と助右衛門の主従の生きざまが可笑しくも哀しい。2015/04/07
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