内容説明
「半どのに、会いとうて、ここへ来た…」はじめて女の体を教えてくれた於蝶と再会した半四郎。二人の忍びの交わりは戦場に熱く燃える。が、ただ独り信長の首を付け狙う於蝶との愛撫は、立場の違う半四郎の運命を変えてゆく。信長の小谷城攻めのさなか、決死の忍び働きに出た二人はかつての味方に包囲され散り散りになるが…。
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
大正12(1923)年、東京に生れる。昭和30年、東京都職員を退職し、作家生活に入る。新国劇の舞台で多くの戯曲を発表し、35年、第43回直木賞を「錯乱」によって受賞。52年、第11回吉川英治文学賞を「鬼平犯科帳」その他により受賞する。63年、第36回菊池寛賞受賞。作品に「剣客商売」「その男」「真田太平記」“必殺仕掛人”シリーズなど多数。平成2年5月3日没
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感想・レビュー
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とん大西
112
読むたびに…似たようなレビューを書いてる気もしますが、池波先生の忍者モノはお約束の面白さです。群雄割拠の戦国時代。生き残りを賭けて勇躍する大名と暗躍する忍者。徳川軍団の足軽・半四郎も実のところ甲賀の手練れ。信玄に仕える頭領の命令で家康傘下の小笠原家に潜入。同じ甲賀の於蝶と再会した姉川の戦いが転機だった。揺れる戦局、変転する運命。闇を切り裂き、宙に舞う。超人的な彼らの戦いにワクワクがとまらない。ところで、この話しの家康は三方原でも威風堂々。右往左往する大河の家康よりかはコッチの方がいいかな、やはり。2023/05/17
ぶんぶん
27
【図書館】ついでに借りて来た、読んで見たら戦国時代の忍者もの。 面白い、忍者「於蝶」が半四郎を焚き付けて信長を討とうとする話。 於蝶の妖艶な事、初めて男になった半四郎の女を利用する於蝶の手管にまんまと乗せられる半四郎。 執拗に信長を攻撃する於蝶、捕ったと思った信長の首は影武者だった。 信玄亡き後、歴史はどう動くのか、忍者を狂言回しにしているのも臨場感を与える。 続いて2巻に。2022/08/22
あまね
20
『蝶の戦記』の後も、お蝶さんは大活躍です。杉谷忍びは『蝶の戦記』でほぼ全滅でも、お蝶さんは妖艶で勇ましく信長の首を取るのに執念を燃やします。手玉に取られる半四郎もなかなかの忍び働き。武田信玄から勝頼に代替わりをして、次巻にというところ。終盤、小人の道半が出てきてワクワクです。2021/05/17
Book Lover Mr.Garakuta
12
戦国時代の忍びの話。二人の忍びの情愛を描きながらそれぞれの主君からの使命を果たすべく活動する。自分が思う名場面:三方ヶ原の章の206頁から211頁16行目である。最も興奮した場面は210頁の10行目から13行目だ2019/04/07
あいくん
11
☆☆☆全三冊あります。長編です。半四郎と於蝶という二人の忍びの物語です。舞台は長篠の合戦の頃です。織田信長、徳川家康、上杉謙信、武田信玄、毛利家が争っていた時代です。応仁の乱のあと、戦国時代になります。於蝶は織田信長の命を狙っています。於蝶と半四郎は6年ぶりに出会います。半四郎は26歳になっています。於諜は29歳です。於蝶は家康を襲いますが、失敗します。家康を襲うという場面は池波正太郎さんの忍者ものには何度もあります。於蝶は信長を襲い成功します。ところがこの信長は影武者でした。2020/07/12