内容説明
月も星もない闇夜であった。あきらかに、多数の敵が自分を包囲しつつある。(しまった…。)忍びの風上にもおけぬ、大介は自分をののしりつつ走りつづけた。―太閤亡き後も豊臣家に衷心をつくす加藤清正を、家康は陰に陽に追いつめる。家康の魔手に立向かう、大介、於蝶ら名忍びたちの活躍を描いた忍者小説第二弾。
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
大正12(1923)年、東京に生れる。昭和30年、東京都職員を退職し、作家生活に入る。新国劇の舞台で多くの戯曲を発表し、35年、第43回直木賞を「錯乱」によって受賞。52年、第11回吉川英治文学賞を「鬼平犯科帳」その他により受賞する。63年、第36回菊池寛賞受賞。平成2年5月3日没
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感想・レビュー
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優希
87
清正はどのような想いで熊本城を築城したかを考えてしまいます。家康の魔手が延びる中、太閤亡き後も豊臣に忠誠を誓い続ける清正。大介の周囲には多数の敵がおり、忍びとしての不覚に走り続ける大介。熊本城築城にまつわる様々なエピソードがあり、そこがとても興味深かったです。大介より清正の活躍の方が印象に残りました。豊臣と家康の狭間で働き続けた清正は徳川に殺されたような気がしてなりません。大介も清正死後は忍びとしての道を歩むことはないと思わされました。展開は早いですが、戦国の終焉を感じられます。2016/02/17
ぶんぶん
26
【図書館】長い物語は終わった。 これは、加藤清正の築城物語としても面白い。 豊臣に恩顧を持つ清正が家康の妨害にも負けず築城までを描いた話である。 勿論、丹波大介の忍者小説でもあるが、裏には歴史の陰謀があり、忍者の暗躍がある。 良くできた小説である、もう少し大介中心の話なら忍者ものとして幅が広がったかも知れない。 でも、池波氏は歴史としての清正論を書きたかったから、こういう次第になったのだろう。これで、「蝶の戦記」を読めば、川中島から大阪・冬の陣までの歴史が一本通る事になる。池波版・戦国ロマンの完成である。2022/08/29
あまね
18
丹羽大介のカッコ良さ、加藤清正のカッコ良さ、道半のカッコ良さが際立つ下巻でした。加藤清正は、そもそも大好きな武将の一人だったのですが、池波先生の描かれたエピソードでますます好感度が上がりました。お蝶さんの活躍を描いている「蝶の戦記」も読みたくなりました。2021/03/25
えみ
18
敵も強い、主人公も凄く優秀な忍びだけど完璧でない...。登場人物一人一人が強く信念を持っていて、忍びの技もすごい。先の読めぬ展開。それ騙されてるよー!!と言ってやりたくなる。ハラハラが止まらない作品。2015/07/20
Nak34
18
「真田太平記」を読むべき。あー、大失敗。読まねば良かった。これにかかる話は、「真田太平記」にあります。大失敗。真田、伊賀、甲賀の忍が対等なレベルにある書きぶりは好きなのだが。正太郎さん、これはいかん。2012/12/31