内容説明
その居酒屋には名前さえついていない。土地の人びとは「権兵衛酒屋」と呼んでいる。亭主はもと二本差であったらしい。長谷川平蔵がそこへ立寄った日に、「権兵衛」の女房が斬られ、亭主はいずこかへ逐電した。何かいぶかしい―。謎を探る平蔵に迫る怪しい影は、ついに鬼平を斬った!特別長篇「鬼火」、満を持して登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
121
鬼平シリーズの長編第2弾です。最初から何かミステリーめいていて登場人物がどのような過去を持つ人なのか、もはっきりしません。ただやはり緊迫感があり鬼平が斬られそうになったりある人物が味方になったりと映画を見ているようでした。楽しめます。2017/06/13
s-kozy
67
シリーズ17巻目は特別長編です。大きく仕掛けが施されています。ミステリー仕立てと言ってもよい。なのに黒幕はそこなの?肩透かしに会いました。でも、裏にはそんなことがあったのかと思わされるエピソードもありました。楽しく読めたから、これでいいのかなぁ。2015/01/16
ポチ
64
2作目の長編。短編は切れが感じられますが、長編はじっくりと読み応えがあり、両方とも好きです。今回も平蔵危機一髪や密偵総動員などもあり、楽しく読了しました。お熊婆さんを可愛いと思ってしまった⁈(^^)2017/05/30
酔拳2
47
鬼平の長編。旗本絡みのため、火付盗賊改も無理な探索は出来ず、時間がかかる。井関録五郎も出てきて、ファンにはたまらん。伊佐次の元カノ?のおよねが新たな男との出会いから発覚した事案、てことは伊佐次はもういないんだな…。平蔵の勘働らきは相変わらず素晴らしい。これ、後任の人に引き継ぎなんて出来ないよな。タイトルの鬼火って、ほんとに最後の最後のことか。2019/03/21
ベルるるる
37
主家筋にあたる、名門の譜代大身旗本に騙され陥れられ、直参旗本である自分の家、名前、友、全てを失い、盗賊となり、今は小さな居酒屋の主。その無口な男に興味を持って、その店を訪れた平蔵。緻密な捕物に引き込まれて読んだ。それにしても、元旗本が哀れ。平蔵は言う・・・「物のはずみで、わしだとて、どうなるやも知れぬ」「人の世の物のはずみほど、恐ろしいものはない」。2016/09/28