内容説明
証券会社の辣腕営業マン・伊地岡勇と電機メーカーの窓際送・野呂久作は高校の同級生。正反対の性格ながらなぜか気が合う二人が、ベッド会社のセールスマンに揃って転職。学歴・経験・年齢、一切不問のシビアな世界で生き残るには何が必要か?経済小説の巨星がユーモラスに活写する傑作サラリーマン小説。
著者等紹介
城山三郎[シロヤマサブロウ]
昭和2(1927)年、愛知県に生れる。21年、東京商科大学(現・一橋大)入学。卒業後愛知学芸大学(現・愛知教育大)で景気論を講ずるかたわら書いた「輸出」で32年、第4回文學界新人賞を受賞。34年、「総会屋錦城」で第40回直木賞を受賞した。平成8(1996)年、第44回菊池寛賞受賞。平成19年3月22日死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シュラフ
16
なんだか寓話的な小説。目的に向かって直線的な伊地岡、それと真逆なタイプの野呂。ある事件をきっかけに二人はそろってベットの営業マンに転職する。営業現場では、学歴・経験・年齢が一切不問で実力だけが頼りになる世界。果たして二人はどちらが営業マンとして成功するのか。現実の営業現場で、アダム・スミスやリカードばかり読んでいる野呂がそんなにヤリ手の営業マンになるとは思えないが、野呂がのんきすぎてユーモラスすぎる。この小説の寓話としての教えとして、"男としての生き様をもった者が最後には勝つ"ということであれば納得。2014/04/27
スプリント
12
対照的な二人のサラリーマンによる逆転劇。 おっとりタイプの主人公が達観しすぎていてウサギとカメの童話のような展開ですが、ウサギも報われるのが救い。2019/05/01
誰かのプリン
12
性格の違う二人は高校の同級生。一方は、せっかちで人一倍早く物事をこなさなければ気が済まないウサギ型性格。もう一方は、何事も急がず物事を一から積み上げるノロマな亀型性格。そんな二人が、かぶの暴落で今まで勤めていた会社を辞めて、ベッドを売るセールスマンになった。二人はどの様なセールスを展開するのか? 興味のある人は一読を。テンポの良い面白い小説でした。2017/02/07
もなか。
7
これぞ、昔のセールスマン。安定がないために、ずっと働き続けねばという、焦燥感につきまとわれている。。どの生き方が幸せなのかな。2014/05/30
Ikuto Nagura
7
現代版(といっても約半世紀前)ウサギとカメ。カメの勝利だけどウサギも勝ってるいい話。しかし、56才になったときには、カメが圧勝してしまいそう。昭和41年の作品だけあって、経済成長の勢いや希望に溢れている。今でもブラック企業と敬遠される営業会社や営業職。そんなこと言う若者たちは、主人公2人の営業への努力と行動力と執念を見習わねばなるまい。2人のスタイルから学べることがたくさんあった、さすが城山三郎。2014/05/17