感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
327
ラテン・アメリカ篇の後半。ここでもアルゼンチンではドラド釣りに挑戦し、またチリの南端近くではブラウントラウトを釣り上げているが(ラテン・アメリカとはいえ、ここまで来るともうラテン気分はどこにもない。なんとも寒そうだ)、下巻では釣行よりも社会とこの地域の現代史に眼が向けられている。典型的なのが1970年に発足し、'73年に軍事クーデターによって崩壊した、マルキストのアジェンデ政権の顛末を語ったくだりだろう。開高健は本来、釣りに命を懸ける冒険家だったのではなく、ヴェトナムにも従軍した社会派だったのである。2018/11/23
ゆいまある
46
遂に読んでしまった。北米3ヶ月、南米6ヶ月の旅。企画していた週刊朝日をコケにして先にアマゾン釣り紀行オーパ!を出してしまったので朝日は怒り心頭。2度目の南米釣り紀行であるこちらではシーズン外してあんまり釣れてない。だけど開高さんは神経質で気が小さい癖に大きいことをやりたがるのでいつもギャップに苦しんでて、だからこそ出せる哀しさや可笑しさがあり、燻されたようないい味が出てる。有名なサントリーのCMもこの旅の間に撮影されたとのこと。ベトナムで生き残った時のエピソードもあり、読み応えがある。2019/05/06
さっと
8
南米大陸なので釣れる魚が『オーパ!』(アマゾンでの釣り紀行)で読んだ記憶と重なる。で、そのアマゾンとは別の意味で南米大陸の懐の深さを感じるのが砂漠の海岸での壮大なキャンプ。小説家は書いている。「それにしても。便器とセメントを持って釣りに行くとは!……」。一行は南下する。地理の授業で見たなぁ。あの細長い国は小説家の耳ではチリ―。ここでは会う人ごとに問う。「社会主義ヲドウ思イマスカ?」。ことの本質は末端にこそ宿るか。そして、フエゴ島を対岸に見ての大団円。幸せそうなオジサンたち。表紙はパジャラ(犬の魚)。2018/11/11
東森久利斗
5
大人は子供になり、子供は大人になれる。ペルー、怪しい探検隊、砂漠の果てフンボルト寒流、地球は丸い、パンナム・ハイウェイ、料理、生き物、植物のパラダイス、極彩色、原始の花火、2022/11/17
あきこ
3
南北アメリカ大陸釣りの旅が終わった。南米では釣りではなく、人々の暮らし方や精神的なものの違いに興味をそそられた。なんて自由で楽天的なのだろう。そんな中に入りこんで長い旅をした作者とスタッフの逞しさに驚く上に、羨ましくもなった。 日本人よ、もう少し生きることを楽しんでもいいんじゃない?それはお金ではなく、生き方でね、と思った。2014/07/23
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