出版社内容情報
旅程五二三四〇キロ。南米大陸の先端フェゴ島に辿りつくまで、行く手に現われる人間と草木虫魚を強くしなやかな文章と、衝撃のカラー写真で描きつくした大紀行!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
331
北米大陸からはじまった大釣行。これはそのラテンアメリカ篇(ただし、アマゾン篇は別稿)の前半。メキシコからヴェネズエラを経てコロンビアまで。メキシコ辺りでは残念ながらオフシーズンとのことで、満足な釣果を得られなかったようだが、コロンビアのバウペス川(アマゾン源流域の一つ)で、とうとう待望の13ポンドのパヴォン(バスの一種か)を釣り上げて、開高氏も大満足の体。自分では一生涯行きそうも無い所(なにしろ強烈なダニとマラリア蚊、その他を覚悟しなければならない)だけに、写真を伴ったこうした本を憧憬の目で眺めるのみ。2018/11/23
ゆいまある
46
南北アメリカ大陸をトヨタ車で走り、釣りをしながら縦断する旅、南米編。メキシコ、ベネズエラ、コロンビア。シーズンが合わなくてなかなか釣れない。海外でこれを読んだが、インターネットも無い時代、情報もなく、知り合いのいない場所を旅するのはどれだけ心細かっただろうと思う。あっという間にスペイン語が上達していく開高さんの語学力や、博識、詩的な表現に舌を巻く。貧しくてもたくましく生きてるベネズエラのおじさんや、アンデス山脈を命からがらランドクルーザーで抜ける場面など、細部まで壮絶ながら生き生きと語られている。2019/05/06
さっと
8
さて。いよいよ南米大陸である。このシリーズ後半ではたびたび言及されていることで、北米大陸ではじっくりニューヨークを瞥見することなどできたわけだが、当地ではとにかく連載のためにカンヅメになって旅行会社の広告を彩る観光地とは無縁の生活を送っていたようでかなりグチが多くなる。何かやつらに復讐する手だてはないだろうか、というところから、王朝のたたりとしてまことしやかに伝わる「モクテスマの復讐」なる旅人の通過儀礼が下痢という小噺から。続く「昼下がりの情事」もモテモテ庶民源氏の南米風俗が秀逸。表紙はピーコックバス。2018/11/11
東森久利斗
6
半ば子供の脳を持った大人衆と 半ば大人の脳を持った子供衆と そういう私自身のために。 原始の花火。2022/11/16
タカ
3
南北アメリカ大陸を縦断する釣り紀行も佳境に入って来た。釣り師の時称には現在がなく、過去か未来があるだけだそうな。1週間前は良かった、1ヶ月後には素晴らしくなる云々。つまりその日釣れるかは当てにならんということみたい。南米に入ると習俗も大きく異なり、日本人の感覚では計り知れないプロセスには面食らうが、読んでいて楽しいのは、随所に気の利いた小話が挿入されているところ。バクの話はかなりウケましたよ笑2024/06/15