出版社内容情報
孤狸庵は書斎で小説ばかり書いていない。社会の問題に果敢に首を突っ込んでゆくのもまた身上だ。’50~’80年代の選り抜きエッセイ集
内容説明
他者への思いやりを大切にした人と人との交り。〈愛〉を根底において、人生の深い意味をひたすら求めようとする積極的な姿勢。それらに貫かれた、この30年間の世の中の出来事にふれるエッセイの数数。鋭い透視力、豊かな感性、そして何ものにもとらわれない純粋な視点に立って、あのとき、作家は、こう発言した。
目次
シャロック・ホルムスの時代は去った
基督教と日本文学
白人の小説について
フランスから帰って
代議士の海外旅行について
集団に対する不信感
某月某日
有閑夫人たるべし
新聞連載コラム 晴羽計
隠れた才能を引き出せ
マザー・テレサの愛
夏休みの読書〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りょうけん
8
<珈> 同時期先に読んだ別の本の感想文で少し書いたが,本書も某所古本売り場の ”棚から一掴み” で選んだ一冊である。そうなった根本的要因は,もちろんコロナバイラス禍津にあるのだが,よもやこの本がエッセイ集でしかも1950~80年代の社会風刺的内容のものばかりを集めたものだとは知る由も無かった。「あっ,中学の頃 ”ぐうたら○○学 ”とかを沢山読んだ狐狸庵先生の未読の長編小説文庫みっけ」というノリであった。 1950年と云うと,なんと70年も前の事であるのに今読んでも内容的には何かと興味が持てる事柄が多い。2021/09/25
モーリーン
3
部分再読。「白人の小説について」「アジアにおける文学の条件」。私は日本的な文学というのを知らなさ過ぎだ。2016/08/12
Lisa Tada
2
この数年、遠藤周作をまとめて読みたいと思い、最初に何の気なしに手に取った本がこれだった。遠藤周作を初めて読んだのは、小学4年生くらい。金と銀を読み、衝撃を受けた。金と銀を再読する前に、「社会問題」に関するエッセイ集であるこの本を読んで、遠藤周作の思想、宗教観、人となりなどに、ある程度触れることができたのは、収穫。戦後の50年代、60年代、70年代、80年代と、10年ごとに区切りをつけて、世の中を概観していて、昭和レトロな懐古趣味の私には、大変興味深い内容だった。さて、次はいよいよ金と銀の再読に挑戦だ!2024/03/09