出版社内容情報
夫の非道の行為を思うたび、私の中にモツアルトの曲が響き、快感が身を貫く──。心の深層を見つめ「悪」について考える十篇の小説
内容説明
夫がおかした残虐非道の行為を思うたび、私のなかにモツアルトのピアノ曲がひびき、快感が身をつらぬくのです―。人妻の告白をもとに、“悪”にふれる表題作など10篇の作品集。生きぬくためにおかし、誰にも言えなかった秘密を照らし、それからの救済をねがい魂の浄化をもとめる大きな“愛”の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
51
後悔や痛みを誘う作品や、心の昏い部分を描いた作品を集めた短編集です。それだけ重みがあり、一つ一つの物語が胸を打ちました。2021/05/07
マリリン
34
短編とエッセイ?10作品。表題作『ピアノ協奏曲二十一番』がよい。夫婦の愛情や交わりは言葉では言い尽くせないものがある。愛の形は異なるが読みながら脳裏をかすめたのは川端氏の「片腕」。 『最後の晩餐』は、悔悛の心を奥底に封印し罪の意識にさいなまされ、心も身体も病んだ果て、信頼を寄せていたボランティアの外国人と死を目前にして交わした会話に胸を打たれた。この著者の作品に触れると心が浄化される。既読の著者の作品の中でも深く印象に残る一冊だった。2023/05/01
奏市
14
10篇の短編小説、エッセイから成る。ちょっと切ない話だったり考えさせられる内容だったりする。『静という人』が好みだった。著者の少年時代の母とその親友である「おばさん」(渡辺静)の思い出の話。流行歌手であった東海林太郎の半生を描く舞台を現代の著者が見に行き、後妻である渡辺静も登場する。静役の酒井和歌子さんの楽屋を訪ねるシーンが良かった。酒井さんは顔だけは知っていた綺麗な女優さん。表題作だけ他とは全く違った内容。著者宛にある未亡人が葉書を出し、自分と亡き夫だけの暗い秘密、悪の部分を打明ける。なかなか怖しい話。2022/04/17
りゅっく
4
遠藤周作の短編集。筆者永遠のテーマであるところの愛と悪の物語たち。モーツアルトのピアノ協奏曲21番は一応聞きました1990/10/01
すみ子
3
名著なのに絶版になっているのがとても残念。冬まで咲き続けた朝顔の話が微笑ましかった。2014/09/07
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