出版社内容情報
三島がいた。吉行がいた。灼熱の戦後文壇史。
酒と愚行に淫し、獣道を歩み、闘い、倒れ果てた作家、編集者たちの懐かしい顔、哀切のとき。欲望蠢く60年代の極私的メモワール。
内容説明
三島由紀夫、吉行淳之介…。キラ星のごとき流行作家や名物編集者たちが夜な夜な酒に浸り、文学論を戦わせる。ときは1960年代、銀座や新宿の薄暗がりの文壇酒場に現われた新人流行作家・野坂昭如が、おそるべき記憶力で男たち女たちの生態を再現。自虐と自負と韜晦をこきまぜ、己を語る。泉鏡花文学賞受賞作。
著者等紹介
野坂昭如[ノサカアキユキ]
1930(昭和5)年10月10日、鎌倉市に生まれる。旧制新潟高校を経て、早大文学部仏文科中退。63年「エロ事師たち」を発表、流行作家となり“焼跡闇市派”と称される。67年「火垂るの墓」「アメリカひじき」を発表し、68年に直木賞受賞。83年、参議院比例代表に立候補して当選するも、同年、田中角栄の金権政治を批判して衆議院に立候補し、落選。97年「同心円」で吉川英治文学賞受賞。2002年「文壇」で泉鏡花文学賞受賞。03年、脳梗塞に倒れてリハビリを始める
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感想・レビュー
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更紗蝦
14
巻末の「人物紹介」を先に読んだら澁澤龍彦氏の名があったのでどんな描写をされているのか期待していたら、龍彦氏よりも妹の幸子氏の方がたくさん描写されていました…。 2012/08/07
モリータ
10
◆初出2001-02年『文學界』、単行本'02年4月文藝春秋刊、文庫版(本書)'05年文春文庫刊。◆以前読み切れなかったのを「戦災孤児の神話」に関する部分だけ拾い読み。他の部分も本来は面白く読めるはずだが今は飛ばす。◆「プレイボーイの子守唄」「火垂るの墓」の執筆過程と心理が描かれている。虚偽を書いた作品が売れてしまった後の不安もさることながら、飲み屋で会話や同業者・編集者の示唆、そして直木賞(つまり文壇的交流・ビジネス)が野坂に上記二作を書かせた側面がよくわかる。◆「プレイボーイの子守唄」;産婦人科医(続2022/11/20
浮草堂美奈
7
現代なら知らぬ者がいない大作家の中を、酒を片手に泳ぎまわる、黒眼鏡のプレイボーイ。面白かった! 人物紹介には爆笑させられた。2015/06/27
go
5
すごく面白かった。とにかく記憶力がすごい。野坂氏の作家としてのスタイルの特異さ。丸谷才一と仲良いのが嬉しい。今、こういう文壇はなくなったらしい。中間小説誌等に勢いがあったから存在できたのかも。一つの時代の記録として貴重。2024/01/25
どんどん
5
自作がどうゆう経緯でできあがったか裏話的なことがわかる。連日のように飲み歩いて遊んでいる野坂先生。先生自身、小説が下手なことを気にして書きあがっても読み返さないと書いていて、エッ―。 読んでて個人的に勝手なことだけど、ショックを受けた。もっと練り練って書いてるものだと思っていた。 「火垂るの墓」や「花のお遍路」や「プアーボーイ」だっけ?私が読んだ作品の出来上がるまでがわかって嬉しかった。先生の記憶力すごい。2014/08/26
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