出版社内容情報
天安門事件に遭遇し救援機で帰国直後に心筋梗塞を起し、心臓の三分の二を壊死させた著者が書下した生と死を見つめる記録の文庫化
内容説明
一九八九年六月、七十歳になったばかりの著者が北京を訪れて、天安門事件に遭遇した時から変事は始まった。救援機で帰国後、自宅に辿りついてわずかに二時間、心筋梗塞が著者を襲った。死に瀕すること数日、生還する幸いを得たが、心臓の機能は三分の二を失った―。二年間入退院を繰返した日々を克明に描く闘病の記録。
目次
しののめの空明かり
くすり漬け、自己治癒力、それから
病友記
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリータ
6
天安門事件に遭遇するところを何かの本で引いていたのをみて読みたいと思っていたのだが、元の本がなんだったか忘れてしまった。しかし、訪中作家団の話はたびたび出てくるので、リストがどこかにまとめられてありそうなものだが、ない。日中文化交流協会のHP(http://www.nicchubunka1956.jp/ayumi.html)には毎年の記事がのっていて、そこに作家の名前は出ているが、2006年以降は記事がない(団がなくなったわけではなく、2009年には宮本輝や角田光代、恩田陸、重松清が行ったりしている)。2013/12/18
大竹 粋
4
水上さんは25分もたらい回しにされたせいか70%が壊死されてしまったらしい。39日間も入院され、その後もいくつかの病院を点々とされ、多量の薬、薬との相性、睡眠障害からくる妄想、ガンとの違い、心筋梗塞という病気の(なった人にとっての主体的な)意味、さまざま文章になされており、さすが大作家のレポートは違うなあと、同じ心筋梗塞で生死をさまよった身として参考にさせていただいた。ある意味壊死もしてない、数分で蘇生した私などは、心筋梗塞からの蘇生道としてはまだまだ「青い」または「浅い」のかもしれない。2014/12/22
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- 和書
- 可哀想な蝿