出版社内容情報
気まぐれな酔客の子を授かった花街茶屋の女のしなやかでしたたかな生きようを描く表題作ほか、練達の筆でしっとりと綴る佳品五篇
内容説明
「男はんは、タネ馬みたいなもんやさけ、おめぐみだけ頂戴しとけばええのんや。あとは何も要りまへん。女でなければでけん仕事に精を出してゆけばそれでよろし」―。気まぐれな酔客の子を授かった花街茶屋の女のしなやかな生きようを円熟の筆でつづる表題作のほか、ひっそりと京に暮らす女たちの哀歓を奏でる五作品を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そうたそ
10
★★☆☆☆ 京に暮らす女たちの哀歓を描く短編集。女といっても、花街の女であり、どの話も似ていると言えば似ている。とはいえ、さすがの円熟味あふれる文章は読んでいるだけで至福であった。でもまあ、他の著者の傑作短編に比べると、わざわざこれを読むまでもないという程度の印象。2022/12/14
jima
8
花街の女達を描く。2022/08/06
桜もち 太郎
4
「男はんは、タネ馬みたいなもんやさけ、おめぐみだけ頂戴しとけばええのんや、あとは何も要りまへん。おんなでなければでけん仕事に精を出してゆけばそれでよろし」。京都町屋を舞台とした短篇集。町屋に生きる女の誇りと悲しさを描いた物語。水上勉の短編は初めて読んだが、長編の方が好みに合う。2017/10/28
marukuso
1
水上の短編集。舞台は四条より北、特に先斗町、出町柳が舞台の作品が多かった。芸妓と男との不義の子、また当人同士の短い交わりなど、人と人の物悲しげな関係が描かれている。近くに住んでいたこともあって風景がありありとわかるので読みやすかった。2015/10/06
