内容説明
狂乱の日々を送り、民に恨みの声をあげさせていた父・武田信虎を追放して甲斐の国の主となった信玄は、信濃の国に怒涛の進撃をはじめた。諏訪頼重を甲斐に幽閉し小笠原長時を塩尻峠に破り、さらに村上義清を砥石城に攻略する。信玄は天下統一を夢みて、京都に上ろうと志す。雄大な構想で描く歴史小説の第一巻。
著者等紹介
新田次郎[ニッタジロウ]
明治45(1912)年長野県生れ。本名藤原寛人。無線電信講習所(現在電気通信大学)卒業。昭和31(1956)年「強力伝」にて第34回直木賞受賞。41年永年勤続した気象庁を退職。49年「武田信玄」などの作品により第8回吉川英治文学賞受賞。55年2月没
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感想・レビュー
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W-G
356
まだ若く、青さを感じさせる、晴信と呼ばれた時代がメインの第一巻。謙信も後半から名前が出てくるものの、意外に大人しい扱い。その近辺で真田や直江の姓が出てくるのが楽しい。著者のモットーでもあるのか、史実から紐解くことの出来る面、地理や戦の状況などは細かすぎるくらいに細かい時もあると思えば、晴信(信玄)の心情はどこか飛び飛びというか、側室への慕情などは唐突なくらいに感じた。武田信玄/上杉謙信どちらも有名な武将で、人気もあると思うが、小説で読むには、武田側から読む方が、起伏に富むものになるな、と改めて感じる。2018/10/01
s-kozy
75
徐々に勢力を広げていく晴信。負け戦を考慮して前に出て行く様が少し変わっている武将と言われる。お互いがお互いを意識する長尾景虎との邂逅。ここからヒリヒリと盛り上がるのかな?2018/09/12
抹茶モナカ
54
武田信玄が晴信と名乗っていた若い頃の話が中心の1冊。戦と愛妾との情事の繰り返しのようで、少し単調な印象。個人的に歴史小説が苦手なため、読むのが大変だった。日本史の授業も学生時代嫌いだったのに、何故、わずかな自由時間に歴史小説を読みくだしているのか、自分でも謎なんだけど、コツコツ読んだ。2016/03/16
i-miya
49
2013.08.15(再読)新田次郎著。 2013.08.15 (あとがき) 私は長野県諏訪の生まれである。 先祖は代々諏訪家に仕えいきた郷士である。 諏訪家は武田信玄によって滅ぼされ、家康の世になって再興なった小藩である。 いつか信玄のことを書こうと思っていた。 影のように「軍師の山本勘助」が出てくる。 ところがこの山本勘助、山県昌景の組下にいた身分の低い、軽い武士で、川中島の戦いで物見をしていたことぐらいしか史料にはない。 2013/08/15
金吾
45
◎子供の頃に読んで、武田信玄が好きになった本です。まだ未熟に思える部分はありながら着々と信濃を征服していきます。北信に入り始め一番のライバル上杉謙信が出てきたので、次巻がまた楽しみになりました。2022/06/06