出版社内容情報
冬山の峻厳で苛烈な「掟」を描く表題作ほか「地獄への滑降」「霧の中で灯が揺れた」「遭難者」「遺書」「おかしな遭難」「霧迷い」「蔵王越え」「愛鷹山」「雪崩」の十傑作短篇集
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
13
再読すると新田氏が作品に著したかった『「登山人性善説」「登山人に美人は皆無」を否定したい気持ち』がよく分かる。 この夏、何座か登ったが、出会った中には様々な人間群像を見た。 登山の世界は決して神聖ではないし、高尚な行為ではない。 こういった短編集の執筆を経て山岳小説が文学へと結晶していったのだろうか。2013/10/02
まさげ
8
冬山の遭難を題材にした作品。厳しい自然を舞台にして人間関係の確執が描かれています。遭難の当事者に対し世間の人々の冷たさ、無責任を感じました。2018/11/12
ケン五
7
やっぱり新田次郎さんの山岳小説はいいです。山の厳しさと人の愚かさが絶妙。極限状態になっても人は人であって、救いようがないけど愛おしい。2011/04/05
キムチ
6
山男、山女でも嫌なタイプが結構出てくる短編集。何度読み返しても飽きないのが新田作品。 あっという間に読破。 もっとも雪山登山は敬遠しているからただ単に、人間ドラマと自然の脅威の絡み方を楽しむだけ。嬉しい山々やコースの名前が出てくるのも楽しいし。ドラマになるのはやはり遭難ばかり。 楽しい登山の私にとっては、「ささくれた心」の登山を他人ごとに読んでしまった。2013/02/27
こまったまこ
4
再読です。新田次郎氏の短編は割と風刺が効いた話が多いような気がします。特に男女が出てくる話だとどちらも遭難死するか悲惨な末路が用意されている。山という厳しい自然の中では人間の傲慢さや愚かさが命取りになるのだなと思いました。2011/10/30