文春文庫<br> 花石物語

文春文庫
花石物語

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  • サイズ 文庫判/ページ数 278p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167111106
  • NDC分類 913.6

出版社内容情報

癒しがたい東大コンプレックスから強度の言語障害に陥った青年と同病の娼婦との滑稽かつ心優しき交流。東北方言の多彩な表現力を大胆に駆使して展開する青春小説

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nemuro

42
かつて大作『吉里吉里人』など読んだ気もするが読メ登録(2009年1月)以降は『モッキンポット師の後始末』(昨年7月読了)に次いで2冊目。巻末に「初出誌『別冊文藝春秋』昭和53年145号~昭和54年150号」とあって「1983年4月25日 第1刷」。活字の密集度が高く東北弁のルビの多用にも苦戦して、止む無く途中で断念した過去がある。釜石時代の井上青年をモデルに自伝的要素の濃い青春小説。馴染んでくれば東北弁のリズムも心地よく、気付けば快読。図書館の書架に長く鎮座するのも伊達じゃない。安野光雅氏のカバーも秀逸。2025/05/15

シュラフ

10
井上ひさしの名作。文学とはなんだろうか。美しいものを描くもの、人生に希望を与えるもの。それが文学だと思う。 『花石物語』は"人生っていいな"と思わせてくれる文学作品である。主人公は三流大学生で、学歴コンプレックスのあまり吃音になってしまい、母のいる花石に帰省する。ここで出会ったのが、東北弁まる出しの娼婦かおり、主人公はかおりによって男になる。そして花石の街で出会った心優しき人々によって成長して、吃音も治る。そして最後は病になったみんなを守る決意をする。 人生って捨てたものでもないなと思わせる。      2013/04/20

さんつきくん

7
作者の自伝的小説。上智大学に入学し上京するも、なじめず吃音症を患った主人公は逃げるように、母が住んでいた花石市(釜石市)へとやってきた。そこでおこるドタバタ花石物語。バイトしては辞めてを繰り返す件はちょっと掴みにくかった印象。終盤になって、前向きになりだした辺りが物語にのめり込めた。かおりちゃんには感謝しないと。昭和20年代後期の釜石の様子が印象的だった。仙台市文学館にて、この「花石物語」の著者の構想図があったっけ。本を読んでから行けばよかったかも。2014/08/27

カワセミ440

6
義父から貰いました。暫く積本だったけど図書館の予約が進まず読んでみる事に。本が出たのが32年前、舞台は昭和30年位の釜石。今では考えられないけど製鉄業は日本の花形だった時代です。釜石弁?からか読むのに時間が掛かった。夏夫って井上ひさしの分身なんだろうけど、どこからが創作なんだろう。お下劣で猥雑な、だけど優しさに溢れる周りの人達に囲まれて井上さん、きっと幸せな時間を過ごしたんだろうなって感じます。優しさと逞しさを兼ね備える母や女性達。かおりさんには幸せになって貰いたいけど。義父は何故この本をくれたのかな。2012/10/30

Hirotoshi Imagawa

5
抱腹絶倒、波乱万丈、そしてちょいとエロティックな物語。井上ひさしは面白い。これは作者の青春時代の実体験に基づいていると思われる話だが、屋台で懸命に働く母親、窓から跨いで行ける近さのお隣にいる娼婦かおりなど社会の底辺の人々がいきいき描かれ、また感動的である。東北弁と吃音のせりふには少々手を焼いたが、それも良い味だった。2013/11/16

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