出版社内容情報
大学院の研究生活に見切りをつけ作家を目指すが、相変らず賭麻雀やパチンコで生計をたてる貧乏生活。妻子を捨てた放浪の旅から再起の日までをつづる青春記の続篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナクマ
33
追悼。今日チラリと見た映像がとても刺さった。(動物たちと生活することについて)「あまり難しいことを考えずに、ともに生きていることを楽しめばいい」。生命を謳歌すること、彼の人生で貫かれた芯だったと思います。◉80年代マイベスト文庫である本書から抜粋「私は胸の中で繰返す。——あいつの方が、おれよりずっと頭がいい。また、彼、彼の方がずっと才能がある。おれは結局、まったく中途半端な人間でしかなかったんだ。何もない、何もない、おれの中には何もない。もし死んだら、と思う。誰か、惜しいと泣いてくれる人がいるだろうか」。2023/04/06
トムトム
27
精神的にも肉体的にも放浪しているムツゴロウさんの若い頃。おそらく20代。今の若い子には信じられないようなギリギリの生活です。人生経験が人間を作るのだなぁとしみじみしました。ムツさん若い頃、自殺しかけています。2020/11/20
よし
7
あのムツゴロウ氏が死を決意するほどの貧困とやり場のない焦燥感と挫折にさいなまれていたとは驚きだった。身重の妻とパチンコ屋で過ごす日々の苛立ち。実家の母から「堕胎しろ」といわれた屈辱。山谷での雀荘のメンバーとなり暮らす。老娼婦サチコさんとの会話は涙ぐましい。よくぞこんな修羅場を乗り越えたものだ。終戦での満州での逃避行を綴った「あの日あの時」の母の手記の壮絶さに圧倒されてしまった。「復活」した畑氏のその後の人生をますます読んでみたくなった。よい意味で期待を裏切られた。今年一番の感動作。2019/11/23
Ryoichi Ito
6
畑正憲青春時代の文字通りの放浪記。妻やお腹の中にいる長女の名も実名で出る。東大大学院動物学教室の修士課程終了間際に大学をやめて,アルバイトをしながら小説を書く。家庭教師,塾の教師,翻訳,パチプロ,麻雀師...なんでも上手い。畑は天才だ。しかし長続きしない。何をしたいのか自分でもわからない。才能がありすぎる人間の悲劇だろうか。山谷の老娼婦に諭されて放浪の季節を抜け出すまでの自伝的小説だ。 2023/05/19
Akio Kobayashi
4
いやいやめっちゃ面白いって2012/07/10