内容説明
「良心」について、「平家物語」、「花見」…。さりげない語り口で始まるエッセイは、思いもかけない発想と徹底した思索で、読者を刺激し新たな発見を与える。永遠に読み継がれるべき名著。
目次
考えるヒント(常識;プラトンの「国家」;井伏君の「貸間あり」;読者;漫画 ほか)
四季(人形;樅の木;天の橋立;お月見;季 ほか)
ネヴァ河
ソヴェットの旅
著者等紹介
小林秀雄[コバヤシヒデオ]
1902(明治35)年東京生れ。東大仏文科卒。29年、雑誌「改造」の懸賞論文に『様々なる意匠』が入選。以後文芸批評家として活躍。53年に『ゴッホの手紙』で読売文学賞、58年に『近代絵画』で野間文芸賞、78年に『本居宣長』で日本文学大賞をそれぞれ受賞。59年に芸術院会員となり、67年に文化勲章を受けた。83年3月没
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
びす男
93
「当人は考えているつもりだが、実は考える手間を省いている。そんな光景が到る処に見える」(合理的に考えることと効率的に考えることは違う、という指摘)。小林秀雄による、一級の批評がそろっている。考えるヒントというタイトルがよい。作者は、読者に同意することを求めず、自ら考えることを求めている。頭でっかちな青白い哲学ではなく、経験や直感を脇に置かない健康な哲学を持った人だと感じて、すぐ好きになった。2017/02/27
マエダ
60
小林秀雄のヒトラーに対する考察は読み応えがあった。2018/08/25
ころこ
44
有難がって読むことに疑問に感じなかった時代があり、「プラトンの「国家」」を読むと論旨が次々変転し、何が論じられているのかさえ良く分からない。他方で「井伏君の「貸間あり」」は井伏の気質と著者の気質が同期して自らの悪評である印象批評に対する洞察を向ける。思想が語られているのは読み難く、エッセイっぽいのは読み易い。このあちこち寄り道してしまう良く分らない文章こそ、日本語の文章とは何かという批評に向けられた問いの答えとして、無意識的に体現している厄介な代物であり、著者の文章が現在も読み継がれている理由なのである。2023/08/22
Tomoichi
44
昭和30年代に文藝春秋や朝日新聞に連載されたエッセイ集。小林秀雄の文章の中では読みやすい作品。文章に古さを感じさせないのは流石。「ネヴァ河」「ソヴェットの旅」は秀逸。2014/04/09
おせきはん
33
歴史や文化などに関する広範で深い話が多く、読むのに時間がかかりましたが、まさに「考えるヒント」が満載でした。昭和34年に書かれたエッセイに「人工頭脳」の話題が登場していたことには驚きました。2020/11/15