出版社内容情報
昭和八年、「月辰会研究所」から出てきた女官が自殺した。特高係長は謎を追うが──。満洲と日本を舞台に描いた未完の大作千七百枚
内容説明
昭和8年。東京近郊の梅広町にある「月辰会研究所」から出てきたところを尋問された若い女官が自殺した。特高課第一係長・吉屋謙介は、自責の念と不審から調査を開始する。同じころ、華族の次男坊・萩園泰之は女官の兄から、遺品の通行証を見せられ、月に北斗七星の紋章の謎に挑む。―昭和初期を雄渾に描く巨匠最後の小説。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪風のねこ@(=´ω`=)
72
まずその時代の丁寧な描写が素晴らしい。特高の吉屋、華族の萩園双方の視点で物語が語られてゆくが、それぞれの身分に応じた人々の反応の違いが面白い。特にインテリでもある萩園と友人たちとの会話がいいね。独特な女官と宮内の描写も興味深い。2022/07/18
まーくん
66
清張未完の大作。週刊誌連載中に病に倒れ遺作に。昨春のNHK、100分de名著に取り上げられた。興味を持ち、早速買い求めたが、上下合わせ千ページ近い大作、手を着けかねていた。時は昭和8年、特高警察課係長が埼玉県下、東武東上線沿線に月辰会という謎の教団を見つけたところから話しは始まる。不敬の野心を持った団体との疑いを抱いた彼は、そこから出てきた宮内省皇宮職の下級女官を尋問。彼女は数日後、故郷吉野で自殺。疑惑は彼女の上司、高級女官・深町掌待、そして宮中の闇へ。明治の司馬史観と並ぶ昭和の清張史観の切り口は如何に。2019/03/02
i-miya
48
2013.09.08-2(つづき)松本清張著。 2013.09.08 旦那様に申し訳ない。 憑依、つまり、神憑りになる状態を科学的に研究する団体だ、と梅広所長はいう。 相場師、金融業者、お礼に寄付金として持ってくるそうです。 大本教との関係を疑う吉屋。 深町女官は心霊もやっているのか。 シェイクスピアの芝居。 シャーロック・ホームズ書いたコナン・ドイルも晩年は心霊術、凝る。 平安朝宮廷には「物の怪」がでたらしい、『今昔物語』に多い。 2013/09/08
sofia
41
NHK「100分de名著」を見て、読んでみたいと思った。ただ時代背景も古く、松本清張の最後の小説ということもあり、すらすらとは読めない。おもしろい内容なのに雰囲気、文章になかなか慣れなかった。下巻がどうなるのか興味津々。2018/06/12
i-miya
39
2013.09.01(初読)松本清張著。 2013.08.30 (カバー) S08、東京近郊、梅広町、「月辰会研究所」から出てきた若い女官。 訊問され、後に自殺する。 特高一係長吉屋謙介、自責の念と不審から調査を開始。 一方、華族の萩園泰之、女官の兄から遺品の通行証(なんで?)を見せられ、月の北斗七星の謎に挑む。 清張最後の小説。 2013/09/01