出版社内容情報
元老西園寺、天才モーツァルト、希代の謀略家スパイM、若き考古学者など強烈な個性の様々な晩景を描いて人間存在の根源に迫る
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KUMAGAI NAOCO
2
松本清張の短編集。舞台もダブリンやドイツなどのヨーロッパから、北海道の内地までと、範囲が広いのだけれども、全体的に寒くて暗い中に生まれるミステリアスなものに強く弾かれて読み進められる。精神病の人が軸になっているストーリーというのが、何か悲しさを紡ぎだしていて、味わいを出している。2014/02/23
サクラ
2
歴史ミステリというか、実在の偉人にまつわる話と創作物が混ざった短編集。ちょっと変わった作品ですがそこそこ楽しめました。特に「魔笛」がゾロアスター教に着想を得てるだとか、そういう細かい部分を知れたのが良かった。2012/07/24
yoyogi kazuo
1
編集者藤井康栄:「亡くなる一年前に『草の径』は上梓された。私も同行したヨーロッパ取材の三作と『昭和史発掘』関連の二作が収録されている記念の作品集である。松本清張の本はたくさん作ってきたが、最後にこの本を手渡すことができたのは幸せだった。作家がこだわり続けた短編、しかもこの時期にしか生まれてこなかっただろう作品の人生晩景が胸に迫る。」個人的には「スパイM」のその後を描いた小説「隠り人日記抄」が大変味わい深かった。2021/10/11
go
1
晩年に書かれた作品らしいが、変わらず面白い。海外が舞台になっていたり、清張の世界は拡がり続けているなと。隠り人日記抄が一番印象に残ったかな。清張って40代以降はベストセラー連発してもの凄い金持ちになってたのに、この貧乏描写を未だ書けるんですね。本当に悲惨というか。陰鬱というか。あとは海外舞台の作品かな。旅行行きたい。2020/04/12