出版社内容情報
勤王か佐幕か、攘夷か開国かで、日本中が騒然とした幕末、白刃による血なまぐさい風が各地で吹き荒れた。桜田門外ノ変など、数々の暗殺事件に材をとった連作小説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
流之助
40
暗殺を描いた短編集。あとがきや「桜田門外の変」にあるように、司馬は暗殺否定派だが、暗殺が幕末という時代に暗い華やかさを加えていたことは間違いない。一瞬一瞬に煌めきのようなものが感じられる。動機はさておいても。「竜馬がゆく」では第一級の人物が多く描かれていたけれど、この短編集に描かれているのは第二級、三級、それ以下の草莽の志士達。だからこそ少し身近に感じられる人物達。どれほどのエネルギーをもって、どんな匂いのする時代の中を生きてきたのかが伝わるようだ。維新後栄達した者と屍となった者。両者の差は紙一重か。2018/06/28
Makoto Yamamoto
11
再読本。 50年くらい前に買った文庫本なので、文字が小さく読みづらかったが、すぐに引き込まれてしまった。 幕末の暗殺事件に関しての短編集。 佐幕派であっても幕末を生き残った者たちは、伊藤博文、井上馨は言うに及ばす人材不足のこともあって維新後かなり優遇されたよう。中でも後家鞘の出世も興味深い。2025/08/10
キリン
11
司馬遼太郎の作品としてはあまり世に知られていない本作品。いやいややっぱり面白い▼「幕末」は桜田門外の変から始まった、とは司馬先生の言葉。なるほど絶対的権威であった井伊直弼が浪人達に殺害されたことから「徳川倒してもいいのね」的な風潮になっていったのか▼数作ある中、個人的には花屋町の襲撃が好み。坂本龍馬暗殺犯への復讐の為に借り出された後家鞘彦六は一日の働きだけで後に大阪府権知事にまで上り詰めた。司馬先生も、思わず「この男は運がいい」とぼやくほど▼暗殺を否定しながら、多くの事例を集めたのは圧巻。さすがの★4.52022/05/31
Mentyu
3
血気盛んな浪人が暗殺で功を立てて、維新後に爵位をもらうというパターンの多さに驚く。明治の偉人というととんでもなく凄い人々の集まりというイメージだが、ほんのちょっと前まで、酒を飲んで天下国家を語り、刀をブンブン振り回す連中だったというのは何とも妙な感じがする。2019/09/16
こっしゃん
2
11/15読了。★★★。報告忘れ。暗殺に焦点をあてた短編集。ほんと簡単に殺し殺されてます。明治以降の日本を作り上げたのは、運良く死ななかった人か、逃げ回っていた人か、なんですねぇ。僕なら速攻で死んでるでしょうな。2013/11/15