出版社内容情報
慶長ノ役の時、薩摩島津軍に朝鮮より拉致された高麗貴族とその子孫がたどる、数奇な運命と望郷の念を詩情豊かにつづった表題作に「斬殺」「胡桃に酒」の二篇を収める
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またべえ
21
胡桃と酒は食べ合わせが悪いと考えられていました。細川忠興と妻ガラシャも組み合わせが良くなかったのです。夫は妻から自由を奪い、妻は夫から正気を奪いました。 食べ合わせが悪い組み合わせとしては他にも、「天ぷらと氷水」、「蟹と柿」など。医学的根拠が無いものもあるようです。 一方で、栄養学または医学的見地から見て良くない食べ合わせとしては、「スイカにビール」、「ラーメンに飯」など。 言われなくても分かっていますが、ラーメンにライスはお好み焼きにライスと並んで「学生の空腹を満たす黄金のツートップ」なんですけどね。 2015/09/11
cape
18
司馬遼太郎らしい短編3つによるうすい一冊。薩摩に残り故郷を想い続けた薩摩焼の朝鮮民族、仙台藩に斬られた官軍のはずの世良修蔵、細川忠興に監禁され続けた細川ガラシャの最期。どれも深々と人間の真理というか人生というかが描かれ、どれも面白く、そしてどれも哀しい。中身は決してうすくない。2018/10/11
がんちゃん
14
亡父の書棚から。今の日韓関係にも通じる話もあり、含蓄がありますね。司馬遼太郎だから言えること、核心を捉えている感じです。2015/11/21
RED FOX
14
タイトルからしてタマラナイ薩摩焼の沈氏の大河SFよりも壮大な表題作(短編)。「惨殺」・・・幕末の薩長の苦しいプランと奥羽列藩の意地が切ない。「胡桃と酒」・・・光秀の娘、細川忠興の嫁ガラシャにヒエー(>_<)美女は大変じゃ。小笠原少斎がいい味出してる(笑)2015/07/20
なつきネコ
13
〔胡桃と酒〕の短編を読むために手に取ったけれど、表題作品の〔故郷忘じがたく候〕のほうに泣いてしまった。なんと言うか、いつまでも故郷を想い続ける朝鮮の民は哀れで、世代を超えても故郷への哀愁は本当に胸にうたれた。沈寿官氏の韓国公演で言った「貴方方が36年を言うなら、私は370年を言わなければいけない」 と言う台詞が泣けた。他二作品も良かった。〔胡桃と酒〕は私が細川ガラシャが好きなので気になって読んだ。相変わらずのヤンデレ狂いの忠興が嫌になる。ガラシャが哀れで爆薬の部屋に住まわされるなんて、ひど過ぎる。2013/04/22
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