内容説明
将軍の側近くに仕え、時に政治に大きな影響力を持った「将軍側近」。彼らはいかに登用され、どのようにしてその力を失っていったのか。代々の将軍の治世を追いながら、幕府官僚としての老中と、将軍個人に仕える側近の関係を通して、徳川政治を読み解く。
目次
はじめに―「将軍側近」とは何か
第一章 徳川幕府創成期の将軍とその側近―初代家康から四代家綱まで(戦国を勝ち抜いた将軍―家康・秀忠の時代;生まれながらの将軍―家光・家綱の時代)
第二章 外から来た将軍とその側近―五代綱吉から八代吉宗まで(徳川綱吉と「側用人」;徳川家宣・家継と間部詮房;徳川吉宗と「御側御用取次」)
第三章 「将軍側近」と老中を兼ねる人々―九代家重から十一代家斉まで(徳川家重とその側近;田沼意次と水野忠友;徳川家斉とその側近)
おわりに―幕末の「将軍側近」
著者等紹介
福留真紀[フクトメマキ]
1973年、東京都生まれ。お茶の水女子大学大学院博士後期課程修了。博士(人文科学)。清泉女子大学総合文化学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
132
どれほど強力な支配者でも手足となる側近なくして政治を動かせないが、江戸時代は将軍の性格や立場が側近像を規定した。4代家綱までは有力大名の子弟が将来の側近として幼少時から付いたが、外部から入った5代綱吉から8代吉宗は自分に長く仕えた有能な小身者を登用した。9代家重以降は将軍から政治を任された形となり、田沼意次や松平定信が老中兼任で権勢を振るった。幕末期には再び将軍個人の指導力が重視され、勝海舟を筆頭に側近も身分に関係なく抜擢される時代となる。時代の求める政治を実現しようと苦心した歴代将軍の思いが見て取れる。2025/07/21
kk
21
図書館本。新井白石、柳沢吉保、大岡忠光など、将軍側近として知られた面々の活躍ぶり、出自や経歴、権力の基盤などを概観することにより、将軍権力行使の実態や時代に応じたその変容、「表」と「奥」の権力関係の機微などに迫ろうとする一冊。彼らが担ったのは、いわば、トップのイニシアティブを大組織の中でどう貫徹させるのかという難問。「御奉公の筋」と「役儀の筋」についての某幕閣のお説教、勤め人の身にあるkk、いろいろと考えさせられてしまいました。2025/09/14
yuliko
3
江戸時代を丸々堪能できて楽しかった♪わたし的に興味を引いたのは、間部詮房と7代家継、8代吉宗と紀伊藩士、大岡忠光と9代家重。田沼一族も「べらぼう」でのタイムリーな話題で面白く読んだ。将軍の傍でも、官僚職の老中と秘書的な側用人の対比や、歴史上の変遷があったことも面白い。お役を解かれた後の人生も、やはり出自が影響していたことも感慨深い。名門の松平、水野などは再雇用など重用されるが、頭脳明晰でも時代のノリで採用された田沼などは寂しい人生を送る。それにしても、家継の「越前は帰りたるか」はかわいすぎる♡2025/08/07
はる
3
面白い。いつもと違う視点になります。12代以降ももう少し書いてもいいと思う。2025/07/12
koba23
1
側近と言えば、柳沢吉保くらいしか知らなかったが、権力者に仕えると権力を持つもんだという解りやすい話でした。田沼なんて大名はいなかったはず、と思ったけど元々は吉宗が連れてきた紀伊藩士の子だとわかると納得。老中は譜代大名が代々就任するものと勝手に思っていたけど、かなり覆った。2025/09/04
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