出版社内容情報
櫻井よしこ氏絶賛!
「国益の前に立ちはだかる勢力と果敢に闘った、あっぱれな外交官の血風録」
かつて毛沢東は「政権は銃口から生まれる」との名言を残した。
中国共産党は「力」の信奉者であり、「民主」「平和」といった理念は通じない。
とりわけ習近平政権では、外交にかかわる党幹部が公式の席で日本を含む西側陣営を罵倒、攻撃することが常態化している。ときには軍事力をちらつかせて他国をおおっぴらに恫喝することさえある。
それに対して、日本政府は何ら手を打てずにいた。いわゆる「チャイナスクール」と呼ばれる親中派外交官らは、逆に中国におもねるような行動をしていたほどだ。
だが、2023年までオーストラリア大使を務めた山上信吾氏は、中国からの恫喝に敢然と立ち向かった。
オーストラリアといえば、もともと親中派政権が続き、中国との経済的結びつきも強かった。ところが2020年に新型コロナ発生源の調査をオーストラリア政府が求めたところ、中国側の態度は一変。ワインや牛肉、石炭などあらゆる豪州産品に制裁関税をかけ、中国市場から締め出したのだ。一方で、中国はオーストラリア国内で活発な情報工作活動を展開。オーストラリア政府を屈服させて、中国に隷属させようという作戦を繰り広げていた。
そうした中、山上大使は日米豪を結束させ、中国に対抗する安全保障枠組み(クアッド・日米豪印戦略対話)のために奔走する。
山上大使の活動は、中国から見ればまさに目の上のタンコブ。中国は山上大使にありとあらゆる攻撃を仕掛ける。発言の揚げ足取りや人格攻撃、いわゆる「歴史カード」を持ち出した牽制、さらには親中派ジャーナリストを使ってのネガティブキャンペーン……。
従来の日本の外交官なら、びびって萎縮してしまったかもしれない。
だが、山上大使は売られたケンカには「倍返し」で応じる。反撃の方針は、「冷静かつ客観的な視点からの反論で、オーストラリアの一般国民を味方につける」「相手(中国)と同じレベルの土俵には乗らない」。
どんな嫌がらせをされても屈しない剛毅な姿勢は次第に評価され、オーストラリア政府内に共感が広がっていく。
最後に、「国際社会で通用する人間であるために、どんな心がけをしておくべきか?」をわかりやすく提示してくれる。
政府だけでなく、民間レベルでも中国による圧力や恫喝にたじろいでしまう日本人が多い中、中国に負けないためのお手本ともいえる作品である。
内容説明
勇躍オーストラリアに赴任した大使を待ち受けていたのは、中国の顔色を窺う豪州政府高官や政治家たちだった。中国やシンパからの度重なる嫌がらせをものともせず、「倍返し」で応じる大使は、次第に豪州人の心を掴んでゆく―。あるべき外交官の姿を示す、痛快無比なストーリー!
目次
序 豪州人の対中認識の目を覚ます
第1章 戦狼外交とは何か
第2章 早速飛んできた牽制球
第3章 いびつな豪中関係の中での始動
第4章 戦狼からの攻撃
第5章 労働党への政権交代
第6章 日豪関係の地盤固め
第7章 戦狼の微笑と対中宥和派の蠢動
第8章 反撃
第9章 戦狼と仲間たちからの執拗な逆襲
第10章 勇気あるオージーたちの奮闘
第11章 日豪和解と歴史カードの無力化
第12章 惜別
第13章 日本の外交官よ、ひるむな
著者等紹介
山上信吾[ヤマガミシンゴ]
前駐オーストラリア特命全権大使。1961年東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、1984年外務省入省。コロンビア大学大学院留学を経て、2000年在ジュネーブ国際機関日本政府代表部一等書記官、その後同参事官。北米二課長、条約課長を務めた後、07年茨城県警本部警務部長という異色の経歴を経て、09年には在英国日本国大使館政務担当公使。国際法局審議官、総合外交政策局審議官(政策企画・国際安全保障担当大使)、日本国際問題研究所所長代行を歴任。その後、17年国際情報統括官、経済局長、20年オーストラリア日本国特命全権大使に就任。23年末に退官し、外交評論活動を展開中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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榊原 香織
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