出版社内容情報
岡崎 守恭[オカザキ モリヤス]
著・文・その他
内容説明
大名を統制する最強の手段は改易(取り潰し)と転封(国替え)だ。そこには現代の企業やサラリーマンにも通じるドラマが無数にあった。倒産、解雇、再雇用、転勤、詐欺、自殺、復活―。藩という「家」、そこにいた藩主と家臣の「人」を軸に、江戸時代の諸相を点描する。
目次
第1章 「出世藩」から「懲罰藩」へ―左遷の地「棚倉」
第2章 不吉 殿様の名は家康の「家」―高取藩植村家
第3章 仇討 赤穂浪士は作州浪士―津山藩森家
第4章 自害 「首なし」ブリ百匹―福知山藩稲葉家
第5章 復活 取り潰しから筆頭老中―松本藩水野家
第6章 引越 国替えは一代で五回―松平大和守家
第7章 詐欺 湖面で水増し一万石―堀江藩大沢家
第8章 最大 空前絶後の大左遷―静岡藩徳川家
著者等紹介
岡崎守恭[オカザキモリヤス]
1951年東京都生まれ。早稲田大学人文学科卒業。日本経済新聞社で北京支局長、政治部長、編集局長(大阪本社)などを歴任し。歴史エッセイストとして、国内政治、日本歴史、現代中国をテーマに執筆、講演(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
117
葛飾北斎を別にして引っ越し好きな人間などいない。まして江戸時代の大名転封となると、大企業の倒産や整理縮小、復活劇そのものの一大事だったはずだ。当然そこには知られざる悲喜劇が生まれ、多くの人間が故郷を奪われたり失業するなど翻弄された。同じ藩が待命地になったり左遷地扱いされたり、短気や病気で思いがけず改易されるなど、記録文書には残らない様々なドラマが浮かび上がる。あと養父が徳川吉宗に嫌われて城主大名から無城大名にされた間部詮言と、二度の引っ越しの果てに島原大変に遭遇し心労死した松平忠恕も取り上げてほしかった。2023/04/02
skunk_c
70
ジャーナリストの文章なので軽くて読みやすい。学術的に突っ込んだと言うよりは、江戸時代の「鉢植え」の実態を様々な角度から取り上げていて、楽しく読むことができた。第1章の棚倉は何度も足を運んだ場所。城址も小さく、どんな藩だったのか興味があったが色々あったのね。福知山の首なしブリの話とか、松平大和守の1代で5回の国替えとか、大変だな。しかもそれに三方所替が入るんだから。最後の徳川本家の話も後日談など興味深かった。ただしせっかくだったので家臣の茶畑開墾の話は触れて欲しいところ。歴史に興味を持つきっかけにいいかな。2023/11/28
金吾
24
小説の題材になった話もあり楽しめます。棚倉は有名な話なので一度訪れ、落ち着いたいい街だったことを記憶しています。大沢家の話は傑作でした。2024/09/06
fseigojp
16
妙に身につまされるのは、津山の森藩でした 最後の藩主は狂乱のうちに。。。2022/09/06
遊未
14
第一章のみ「棚倉藩」にやってきた御家の話。江戸時代唯一西軍で一度完璧に潰され旧領地に戻った立花宗茂で始まり、二章から八章はそれぞれ一つの御家の話。その事情はお気の毒であったり、冗談みたいであったり様々。「引っ越し大名」もあります。大名絡みの刃傷もハ件あり幕府の刃傷沙汰マニュアルも進化し、我々の赤穂事件の見方も変わるかもです。最後の徳川家については明治後にあれだけページを割くなら、もっと他の件を紹介して欲しかった。 本当にわかりやすく書かれていますので、お薦めの一冊です。2022/10/18