出版社内容情報
生涯の大半を旅に費やした俳諧の神様は、決して浮世離れした人物ではなかった。いかに煩悩と戦い理想に生きたか。その人間味に迫る。
内容説明
忘れなかった「武士の品格」。美食家、月オタク、大ヤマ師!?お伊勢参りは生涯で六度。“忍者の里”から江戸へ―俳聖「芭蕉」誕生の秘密。
目次
序章 俳諧師「芭蕉」誕生前夜
第1章 江戸で決意した行脚詩人の道
第2章 野垂れ死に覚悟の旅
第3章 神様か、大山師か
第4章 俳聖の神髄とライバル井原西鶴
第5章 無頼の門人たち
終章 芭蕉の最期
著者等紹介
北村純一[キタムラジュンイチ]
作家。日本ペンクラブ会員。1948年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。1967年三重県立上野高校卒業。1971年大阪市立大学経済学部卒業。都市銀行勤務の傍ら文筆活動に従事。1980~82年には旧通産省の外郭団体である(財)海外貿易開発協会(現・一般財団法人海外産業人材育成協会)に出向した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みこ
21
一人の人間としての松尾芭蕉を解説。忍者伝説から伊賀出身というのは聞いたことがあったものの、彼が伊賀藩士ということが彼の生涯に深くかかわっていることは意外。また、勝手に浮世離れした仙人のような人となりをイメージしていただけに名声を求めたり人間関係でこじれたりと当たり前のように人間臭い一面を知ることができる。2022/03/16
マカロニ マカロン
12
個人の感想です:B。著者は伊賀上野生まれと言うこともあり、同郷の芭蕉を「伊賀の人」として捉える。芭蕉は江戸出府後も頻繁に故郷に帰っている。その要因として5年に一度の帰国令も勿論あるが、生涯の「旦那」である蟬吟の遺児の3代目当主新之助の存在もあるかも知れない。著者は寿貞は妻説、深川隠棲は老中筆頭酒井忠清の失脚と桃印の家出説を採る。また本書には同世代のライバル俳人で浮世草子作者でもある井原西鶴との関係も詳しく書かれている。西鶴をモーツァルト、芭蕉をベートーヴェンに例え、天才タイプではないが深みがあるとしている2023/03/29
じょうこ
7
タイトルの「伊賀の人」に惹かれて読む。松尾芭蕉というと、孤高の旅人と勝手にイメージしていたが、芭蕉一派の蕉門は一説には2000人いたとか、ライバルは西鶴で弟子の其角は西鶴とも交流があったとか、芭蕉を取り巻く人間模様も描かれていて、芭蕉という人物像が私の頭の中で変化できたように思う。銅像でしかなかったものが、ちょいニヤリとしてくれた感じ。2022/06/15
coldsurgeon
6
井原西鶴と同時代を生きた松尾芭蕉に関わるエッセイ。俳諧師・俳聖芭蕉は、人生の大半を旅に費やした。がんじがらめの封建社会において、自然や人間の真実をいかに追求するかを模索した。そして隠遁生活や旅により自由人として生きることに現実を深く見つめる境地を見出したのかもしれない。俳諧というのは上手にウソをつくことなりと芭蕉は記したらしいが、虚実のないまぜにより、事実を超える高い芸術性を得ることウソと称したらしい。辞世の句はないというが、「旅に病で夢は枯野をかけ廻る」は、彼の人生を現している。2022/05/06
スプリント
5
松尾芭蕉が忍者の里伊賀出身だったとは。 新たな知識を得た。2024/05/01