出版社内容情報
惜しまれつつ世を去った著者のエッセイ集第二弾。生涯のテーマの一つだった二・二六事件の真相に迫った最後の論考も特別収録する。
内容説明
半藤さんが伝えたかったこと。未収録エッセイシリーズ第二弾。歴史を愛し、誰よりも愉しんだ著者による歴史読み物。
目次
第1章 昭和史の語り部として(二・二六事件「宮城占拠計画」の謎は解けた;責任を背負って史実を書いた阿川弘之さん ほか)
第2章 歴史あれこれ(『古事記』と『日本書紀』;腹を切るということ ほか)
第3章 漢籍のたのしみ(春秋からの連想;「百」のあれこれ ほか)
第4章 ことばの世界(悪口の多種多様;言葉をつくる ほか)
第5章 わが体験的昭和史(相撲改革 四本柱の思い出;人が神になる話 ほか)
著者等紹介
半藤一利[ハンドウカズトシ]
1930年生まれ。作家。文藝春秋に入社し、『週刊文春』『文藝春秋』などの編集長、専務取締役を歴任。昭和史研究の第一人者として知られる。2021年1月12日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
116
昭和史、それも日中戦争から太平洋戦争、戦後については著者の本を数冊読んだがどれも面白いというかわかりやすい。教科書的な昭和史に隠れた裏話や秘話、証言などが出てくるのだから面白くないはずがない。もう少し読んでみたら昭和史についてノートに整理、自分なりに勉強してみたいな。図書館本2021/08/29
へくとぱすかる
59
硬軟とりまぜてのエッセイ。江戸っ子らしい切れのよさがあったという半藤さんの話し言葉こそ、文章では直接には聞けないが、文章の端々に、そんな口調を彷彿させる勢いが感じられて、爽快感がある。冒頭の二・二六事件の「宮城占拠計画」に対する追求など、歴史探偵として真正面からの取り組みもあれば、流行歌など社会風俗についての探求もある。ご自身の思い出にしても、もはや覚えている人もなく、どこにも書かれていなさそうな話もあって、それ自体が貴重な情報だろう。「ミッキーマウスのヘッドホン」なんてギャグは秀逸。ご紹介を感謝します。2021/12/18
tamami
50
著者の本は初読み。食わず嫌いだったかも?〇〇講座や教科書といった大歴史とは違って、本書に記されたような、本人の身の回りの出来事、日々の語らいの中で作られる小歴史の方に、時の流れを実感させられる。そんな歴史の語り部として、著者は戦前から戦中戦後へと、歴史の真実を並べ見せてくれる。優れたバランス感覚をもった著者の言説に触れることで、歴史を見るための直き心に近づくと共に、松本清張『昭和史発掘』、阿川弘之『山本五十六』、永井荷風『断腸亭日乗』等の昭和を彩る作家や作品の紹介もあり、扉を開かれたという思いも味わった。2021/08/09
ゴールドまであと938日
28
直接この本と関係ないかもしれない。最近、特に再評価と称して、歴史の見直しが多くなっている。学者としての歴史と文学やフィクションとしての小説や映画で、様々に内容が変えられている。NHK大河ドラマでも、明智光秀の再評価、今年の徳川家康、それでもなんやかんや言いながら半年過ぎて、学問と文学、どっちもどっちで、犬は吠える、されどキャラバンは行くの感じ。物理や数学その他科学的な分野と違って正確なエビデンスがつけにくい。まぁ最後は面白ければいいって感じになる。この半藤一利さんも、小説家、面白い、面白くしないとだめ。2023/03/26
CTC
14
21年文春新書、シリーズの第二弾。シリーズ(現在のところ3弾まで刊行、私は故あって3→1→2と読んでいるが)の中で唯一歴史探偵躍如の巻である。なぜ当巻を頭にしなかったかと首を傾げる訳だが…前巻(21年2月19日発売。著者逝去は同年1月12日)あとがきが半藤さんの絶筆だから、最初からシリーズを志していた訳ではないのだろう。腰を落ち着けて未発表原稿を選んだら本書になった、という格好か。『月刊文藝春秋』から私家版含め5媒体への寄稿文を収録。2022/04/27