内容説明
「あなたのやりがいは?」「選挙にはお金がかかる?」「生まれ変わっても議員になりたい?」。全国一七八八議会のすべての議員を対象にした前代未聞の企画。その結果と追加取材をまとめた議員のホンネがわかる一冊。
目次
議員に送った設問全一二六項目
第1章 地方議会の役割は?
第2章 なれ合い議会
第3章 トンデモ議員列伝
第4章 地方議会 女性議員は今
第5章 なり手不足 その背景は?
第6章 「ドン」が語る東京
第7章 バッジのために何をしている?
第8章 地方議会 議員の未来は
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hatayan
44
NHKが全国の2万人近い地方議員から集めたアンケートから地方議会の現状と課題を示すもの。市職員が議員の質問をお膳立てすることは珍しくなく、「号泣議員」の例を引いて政務活動費が事実上ノーチェックだったことなど、行政と議会の緊張関係が失われがちで、労の割に低い報酬では議員のなり手がおらず地方では議会の存続すら危ぶまれる現状が示されます。課題に通じた行政を素人の議員が監視などできない、だからわからないことがあれば徹底的にだだをこねるという都議会議員の姿勢は行政と議会の緊張を保つ手段として注目できそうです。2020/07/09
bonbon99
13
一番興味深く読んだのが都知事、東京都議会と都庁官僚との関係性についてだった。おもしろかった。本書の特徴として、著者がNHKの取材班らしく、取材や文章が客観的で、地方議員の生の意見を吸い上げ、文章としてまとまりをもたせている。データのもとになっているアンケートは、他に類がなく秀逸だと思う。日本の地方政治の問題点として、都市の議員と地方の過疎地域の議員では実情は全く違っていて、分けて考える必要があるというのは事実である。2020/08/26
ひでき
10
NHKの取材班が全国の地方議員にアンケート調査を行い、そこから地方議員の実態に迫るもの。 本書から読み取れるのは、地方議員も我々と同じ人間であるということ。人間であるがゆえに間違いも起こすし、やる気のある人もいればない人もいる。 意外だったのは、地方議員自らが地方議会や地方議員のあり方に疑問を抱いているという点。 地方議員の問題は議員だけの問題ではなく、制度を作る国、投票をする住民、それらを報じるメディアが強い問題意識をもって初めて解決されていくのだろう。2020/12/16
Lagavulin
6
仕事に真摯に向き合い、日々悩みながら励む議員がいることを知れて良かった。旨味がないと候補者が減り、旨味があると非難される。みんなが悩み考えながら進んでいくしかないように思う。2022/05/25
Katsuto Yoshinaga
5
地方議会を語る犬山市議会議員ビアンキ氏が語った “Bad officials are elected by good citizens who don’t vote”(悪い政治家は投票に行かない善良な市民に選ばれる)“If you don’t vote, you don’t count!”(投票しないあなたの声には意味がない)という言葉が紹介されている。本書は地方議員を語ったものだが、日本人の市民意識も暗に示している。先の言葉は、地方政治の体たらくと市民意識の比例関係を示唆したものだ。(コメに続く)2020/08/08