内容説明
闇社会の住人でありながら、株主総会で経営陣を攻撃し、震え上がらせた総会屋たち。三菱グループ、野村証券などの一流企業が、なぜ彼らの呪縛から逃れられなかったのか。論談同友会など総会屋たちの証言をもとにバブル経済の裏面史を描く。
目次
第1章 総会屋の源流とバブル前夜
第2章 日本で一番長かった株主総会
第3章 狙われた流通業界
第4章 「社内総会屋」と呼ばれた男
第5章 損失補填スキャンダルと稲川会
第6章 野村証券の蹉跌と第一勧銀の呪縛
第7章 山一証券の崩壊と新井将敬の自殺
第8章 三菱グループの“汚れた原点”
終章 消滅していく総会屋
著者等紹介
尾島正洋[オジママサヒロ]
ノンフィクションライター。1966年生まれ。埼玉県出身。早稲田大学政経学部卒。1992年、産経新聞社入社。警察庁記者クラブ、警視庁キャップ、神奈川県警キャップ、司法記者クラブ、国税庁記者クラブなどを担当し、主に社会部で事件の取材を続けてきた。2019年3月末に退社し、フリーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kuma
22
経済事件を総会屋の観点から、企業、経営者の立ち位置を見る、個別の総会屋は知っていたが、改めてまとめて振り返るとスタンス時代が見えてくる。2021/02/19
魚京童!
19
質問に答えられないのが問題ではないんだ。つつがなく進行するのであれば、なんにも意味がないよね。結局、何が大事なのかを見失っている。私が良ければそれでいいのだ。個体を優先する。社会で生きているのに、社会に参加しない。その結果、みんなでアイヒマンになる。アイヒマン万歳!そこだよね。当然のように社会参加ってハンナは言ってるけど、みんなが参加するわけではないし、そこまで頭が回っていないヒトが多い。民主主義だからね。声が大きいものが勝つ。正しいものは考えなきゃいけないからね。難しいよね。2022/07/11
スプリント
11
総会屋という存在はすでに過去のものとなりましたが、企業の裏の顔を知り暗躍した時代の証としてとても興味深い内容でした。2020/05/09
CTC
11
11月の文春新書新刊。著者は本年3月まで産経新聞記者だった。もっとも著者は66年生まれだから、題材についてはタイムリーにというより、記者として脂が乗ってから多くの(元)総会屋を取材したというわけだろう。「彼ら(総会屋の意)の目を通してバブルが崩壊していくさまを裏側からとらえなおすことができるのではないか」というのがこの本の狙いとなるが、浮き彫りになるのは無責任な経営者の姿勢。どんな企業でも色々あるだろうけれど…まぁ今じゃ通用しない。逆に申せば世の中少しは進歩してるかな。2019/12/09
GOTI
7
☆☆☆★ルポルタージュです。事実は小説よりも何とやら。闇社会の住人である「総会屋の歴史を振り返ることで、バブル経済のピークから崩壊までを描」いています。総会屋のスポンサーになっていたのは野村證券を初めとする四大証券、第一勧銀、三菱地所、キリンビール、三菱自動車、大丸、松坂屋、イトーヨーカ堂、住友海上等々日本を代表する超一流企業でした。各企業がスキャンダルの発覚を恐れ、株主総会を穏便に終えるよう総会屋を雇い見返りに資金を流すいろんな手口を克明に記しています。黒歴史ここにあり。2020/01/05