内容説明
昭和天皇に十五年間にわたり仕え、その後は香淳皇后に仕えた侍従が遺した二十七冊の日記には、晩年まで戦争責任について気にしていた昭和天皇の苦悩、昭和から平成へ代替わりする際の宮中の様子や儀式の詳細が記されていた。日記を発見した共同通信取材班による解説と、半藤一利氏と保阪正康氏の対談を収録。
目次
第1章 昭和49年~51年 昭和天皇の涙
第2章 昭和52年~56年 皇后の体調不安
第3章 昭和57年~60年 寛仁親王皇籍離脱騒動
第4章 昭和61年~63年 戦争責任への言及
第5章 昭和64年~平成12年 昭和の終焉、平成へ
解説対談 小林忍日記を読む(半藤一利、保阪正康)
著者等紹介
小林忍[コバヤシシノブ]
大正12年4月28日、静岡県吉原市(現富士市)出身。旧制姫路高校時代の太平洋戦争中、召集され、陸軍航空部隊で基地間の通信などを担い終戦を迎えた。京都大学法学部政治学科で学び、同大大学院を経て昭和24年4月に人事院に入った。内閣に設けられた憲法調査会の事務局などを経て昭和49年4月に宮内庁入りし、昭和天皇の侍従になった。昭和天皇の死去後の一時、現天皇陛下の侍従を務めた後、香淳皇后の側近として仕え、香淳皇后死去翌年の平成13年6月まで皇太后宮職御用掛を務めた。平成18年7月3日に83歳で病死した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rinrinkimkim
4
うわー24人しか登録されていないです!が本書は多くの付箋を貼る読書となりました。宮中言葉(おしっこ=おじゃじゃ)など使ってみたかったとか御上がやきもちを焼くとか図鑑の間違いを指摘して調べさせるとか。ペタペタ貼りましたよ。さらに日記をつけてた小林氏がブツブツ文句を残しているんです。でも衷心よりお仕えしている姿が生き生きとしているんです。奉公先は御上ただ一人ってかっこいいですよ。昭和大帝は休むことなく崩御あそばされました。実に泣ける1冊でした。これからメモ整理です。2019/08/13
梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」
4
天皇自身が戦争責任について語った記録ということで、センセーショナルな書物だと捉えられがちかもわからないが、それは内容の一部に過ぎない。天皇が70代を過ぎ、じわじわと衰えていく中で漏らした「弱音」という印象を受けた。この本は、一組の老夫婦の老化の記録だ。天皇は「死ぬまで現役」で、心身の老化が進む中でも一挙手一投足が好奇の目にさらされながら働き続ける任務は残酷だと感じる。明仁天皇が生前退位を選択したことの意味がよく理解できた。 明仁天皇やその家族の言動に対する、辛辣な言葉のメモも印象に残る。2019/05/07
オルレアンの聖たぬき
0
まさに現代の『藤原実資』。伝統と皇室の近代化との狭間で同僚や宮内庁職員だけでなく時に皇族の方々の立ち居振る舞いに対しても苦言を呈する姿は古き良き『侍従』の姿を見る。ただ、令和の皇室ではどうなのだろう?と心の底から心配になった。2025/01/16
2459n884ra
0
昭和天皇の侍従日記は何人かから出ているが、抜群に読みやすい。共同通信取材班の手により解説が入っていることと、日記といっても淡々とし過ぎずニュースの勘所を心得ている感じ。2024/06/09
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