文春新書<br> 口腔医療革命 食べる力

電子版価格
¥815
  • 電書あり
  • ポイントキャンペーン

文春新書
口腔医療革命 食べる力

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 222p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166611140
  • NDC分類 497.9
  • Cコード C0295

出版社内容情報

栄養を投与することしか見てこなかった終末期医療の盲点は、自分で噛んで楽しく食べること。お喋りも笑顔も作る、口腔ケアの最前線。「食べられない」高齢者が急増!? 健康長寿のカギは口腔機能にあり!



お年寄りが病院から退院すると、入院前よりも“元気がなくなっている”と思ったことはないだろうか。退院はしてきたものの、体力・免疫力は返って弱っていると。実は、ここに現在医療の大きな問題が隠されている。

多くの医療現場では、『治療中なんだから食べることくらいは我慢しろ』という風潮が蔓延している。高齢者の場合、特にそれは顕著だ。合わない義歯は管理が難しいと強制的に外され、食べることが少しでも危険だと判断されると、食事はほとんどが流動食、点滴、ひどい場合は、経鼻経管栄養や胃ろうにされてしまう。なぜ、こんなことが起こるのだろうか?



急性期病院とは、専門医の集まりである。治療すべき臓器を専門医が受け持つ。

専門医とは、良い意味でも、悪い意味でも、自分の専門を第一に考え、それに危険なファクターはできるだけ排除しようとする。病院内で『食が軽視される』大きな原因は、「医科」と「歯科」が分かれてしまっていることにある。他の専門家にとって、食べるということは自分の治療にとって、危険以外の何物でもないと思うからだ。



実は病院内だけではなく、そもそも食支援に重要な役割を果たす『口腔機能』の専門家がいないという大きな問題がある。人間の体は全て、担当の専門医が決められ、診てもらうことができるが、唯一専門家のいない器官がある。それが『口腔』である。口腔とは口の中から喉までの器官。人間の体の中で、口と歯だけが医科ではなく、歯科が担当する。だから、口腔内のがんやできものは、医科ではなく、歯科の口腔外科が担う。しかし、口腔の外科医はいても、機能の低下や障がいを治療・改善する内科の専門家が全くの不在なのだ。教育すら受けていない。



医療から見放されている『口腔機能』だが、人間が生活していく上で、このうえなく重要な器官であることがわかってきた。「食べる」「喋る」「笑う」という、人間の健康にとって、最も重要な行為を支えているのだ。



今後、健康に老後を過ごすために必要なこととは……

『食支援の専門家(食医)を見つけて、しっかりと噛んで食べながら病気を治すこと』

『加齢によって低下してゆく口腔機能を自分の力で維持させてゆく』

『本人と家族が「医師任せ」にせず、適切なセカンドオピニオンを持つこと』

など、対処法までしっかり紹介。

塩田 芳享[シオダ ヨシタカ]

内容説明

「食べられないお年寄り」が急増している。誤嚥を恐れる医療現場が安易に「禁食」させることで、口の機能が衰え、退院後も食べることが出来なくなってしまうのだ。新時代の「食医」への取材を通して、問題を解き明かす。お口の体操も紹介。

目次

口のリハビリで「食べる力」が蘇る
「食べられない高齢者」は病院で作られる
医師はなぜ「食べてはいけない」と言うのか?
医科と歯科の狭間で見過ごされてきた口の中
病院に入院すると忘れられてしまう「噛む力」
急激な高齢化についていけない歯科事情
胃ろうはもう一度食べるためのステップ
食べるための主治医「食医」を創る!
「栄養サポート」が「食べるサポート」の支えになる
「食べる力」の低下を予防する最先端のシステム
「食べること」の意義をもう一度考えてみよう

著者等紹介

塩田芳享[シオダヨシタカ]
1957年東京都生まれ。医療ジャーナリスト・演出家。成城大学文芸学部卒業。日活・松竹などで映画の助監督を務めた後、NHK・日本テレビ・TBSなどでディレクターや報道番組演出を手がける。現在は医療ジャーナリストとして、「医療事故」「救急医療」「研修医問題」「高齢医療」「胃ろう問題」などに対して、映像演出のほか取材・執筆活動も行う。主な映像作品に、ドキュメクタリー人間劇場「捨てたら終わりや!」(ギャラクシー奨励賞、芸術祭参加)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

DEE

7
誤嚥を防ぐためとはいえ、安易な食事制限や胃ろうは、入院が長引いたり免疫力低下による合併症を引き起こしたりと患者のためにもならないし、結局は医療費の増大に繋がる。 医療を見直すのなら最も基本的な食から見直していかなければ、いずれ立ち行かなくなるだろう。2017/03/16

Akira Kumoi

5
知識としては知っているつもりだった「食べる力」の大切さを、個々の具体的な事例や口腔ケア現場のトップランナーからの提言を通じて丁寧に解説した良著です。医師と歯科医師の境界線の話や、超高齢社会に対応した入れ歯を作れる歯科医師が極めて少ない現実など、とても興味深く読みました。食べること、話すこと、笑うこと…みんなシアワセに直結していますもんね、確かに。2017/01/27

ふくり

2
死ぬまで元気で美味しく食べたい。2018/05/13

jetcity

1
確かに食べれなくなったら、生きてるって感じは無いかも。2017/03/18

須那 雄太郎

0
岡山県立図書館2018/06/04

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/11300035
  • ご注意事項