文春新書<br> 週刊誌記者 近松門左衛門―最新現代語訳で読む「曽根崎心中」「女殺油地獄」

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文春新書
週刊誌記者 近松門左衛門―最新現代語訳で読む「曽根崎心中」「女殺油地獄」

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  • サイズ 新書判/ページ数 206p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166610853
  • NDC分類 912.4
  • Cコード C0295

出版社内容情報

心中事件があったと聞けば駕籠で駆けつけ、翌週には舞台にかける。現代語訳「曽根崎心中」「女殺油地獄」で俗の極致をご堪能あれ。[日本のシェイクスピア」と讃えられ、今も再演がたえない近松門左衛門──その正体は「週刊文春」のエース記者だった!?

近松門左衛門の作品は、今なお、映画、TVドラマ、歌舞伎、文楽、宝塚で繰り返し上演されている。「チカマツ」の何が大衆をこんなにも惹きつけるのだろう?

実は、近松の姿は、今の週刊誌記者に非常に近かったのだ。心中事件があったと聞けば、駕籠で現場にかけつける。菰の下からのぞく女の死体の白い足に衝撃を受け、とってかえして一気に書き上げ、すぐに舞台にかける──。

一方、時を経て、近松作品は大幅に潤色されている。現代劇や映像はもちろん歌舞伎、文楽とて例外ではない。300年経っても色褪せない俗の面白さは、原作を読めばますますリアルに伝わってくる。

何よりこんなに面白い「チカマツ」を神棚に飾ったままではもったいない!

そこで、近松作品の中でも人気が高い『曽根崎心中』と『女殺油地獄』を読みやすい現代語訳でお届けする。近松研究の第一人者である早稲田大学名誉教授・鳥越文蔵博士の監修で伝統芸能に詳しい小野幸恵が現代語訳を担当。

解説では、文楽の桐竹勘十郎、吉田玉男という当代きっての人気人形遣いと、美しい徳兵衛を演じて話題になった歌舞伎の市川染五郎のインタビューも交え、近松に魅力に迫る。

人形遣いだけが知る「お初が透明になる瞬間」とは? 文楽・歌舞伎の楽しみ方、見どころから原作誕生の背景までこの一冊で近松の全てがわかる。

週刊誌の見出し風に言えば、

『曽根崎心中』=気の弱い「かわいい男」はなぜモテる?「暴走する純愛の結末」

『女殺油地獄』=キレる若者は江戸時代にもいた!「元禄版・人妻衝動殺人」

江戸の時代にも、現代にも、こんな若者いるわいなぁ、と身につまされます。

近松の真骨頂である「俗」と「聖」の極致をご堪能ください。

小野 幸惠[オノ サチエ]

鳥越 文蔵[トリゴエ ブンゾウ]

内容説明

「日本のシェイクスピア」「作者の氏神」と讃えられる近松門左衛門。その実像は、事件と聞けば現場に駕籠で駆けつける、今でいえば週刊誌のエース記者のような存在だった。なぜ近松はいつも新しいのか?日本人なら押さえておきたい人気の二作品で俗の極致に酔う。

目次

1 曽根崎心中―「かつて、こんな純愛があった」(観音めぐり;生玉社のできごと;天満屋;道行;解説「かわいい男」と女の覚悟)
2 近松門左衛門とは何者だったのか?(近松と人形浄瑠璃;歌舞伎との出会い;再び人形浄瑠璃へ;武士を捨てた近松のアイデンティティ)
3 女殺油地獄―「元禄版・衝動殺人事件」(上の巻 徳庵堤;中の巻 河内屋;下の巻 豊島屋;新町遊廓;三十五日の逮夜;解説 キレた若者の人妻殺し)
4 劇作家の誕生

著者等紹介

小野幸惠[オノサチエ]
1954年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務を経てフリー編集者となり、古典芸能を中心に舞台芸術の書籍を編集・執筆する

鳥越文蔵[トリゴエブンゾウ]
1928年長崎県生まれ。早稲田大学名誉教授。早稲田大学坪内博士記念演劇博物館館長を経て現在顧問。早稲田大学文学部卒、同大学院修了。近世演劇専攻。92年『元禄歌舞伎攷』(八木書店)で芸術選奨文部大臣賞受賞。97年、紫綬褒章受章。歌舞伎学会初代会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yumiko

76
「曽根崎心中」と「女殺油地獄」は文楽、歌舞伎共に人気の演目。どちらも実際の出来事をもとに書かれている(「曽根崎」はなんと心中事件後1ヶ月の早業)ことから、この題名になったよう。義太夫の朗々とした語りも素晴らしく、ひたすら健気で愛らしいお初、気弱さが男の可愛さを感じさせる徳兵衛、人形であることをふと忘れるくらい生々しい感情が伝わってきた初見の舞台を思い出す。「女殺油地獄」は今風に言うなら「坊々ニート金に困って人妻殺害」となるだろうか。300年後の今に通ずる近松の現代性にただ驚くばかりだ。2017/03/16

k5

59
近世文学強化月間②。ほぼ現代語訳が中心でうんちくは少なめですが、両作品ともにはじめて読むので、読みごたえありました。原文にも挑戦してみたいと思います。2022/07/17

きみたけ

58
今年の演奏会向けに近松門左衛門を題材にした合唱曲に取り組んでおり、近松の人物像や作品について予習のために読んでみました。代表作「曽根崎心中」「女殺油地獄」のストーリーと、近松の生い立ちや武士の身分を捨て作劇の道へ進んだ経緯の紹介があり予習にぴったりの一冊でした。当時にぎわせた心中事件を元にした「曽根崎心中」は、週刊誌記者のような近松のフットワークの軽さと天性の文才のなせる技と感じました。北新地のメインストリートがかつての蜆川(しじみがわ)を埋め立てた場所と分かって良かったです。2023/01/03

かふ

18
近松浄瑠璃の最適な入門書だ。江戸の三面記事的な心中事件と殺人事件を浄瑠璃として昇華した。浄瑠璃は仏教的な思想が底にあるから、単に情事である事件ではない。映『曽根崎心中』梶井芽衣子と宇崎竜童の映画で見たが梶井演じる芸者原作のお初は19歳で純真な乙女だった。そして最初に観音めぐりが出てくるほど信心深いのだ。一方、徳兵衛は24歳なんだけど丁稚上がりの世間知らず。だから悪友に簡単に騙される。精神年齢も14歳ぐらいで世間的には芸者であるお初の方が大人だった。2020/04/26

あずきずき

8
曽根崎心中と女殺油地獄を、解説付きで 詳しく楽しめる。 歌舞伎との比較も多く、歌舞伎も観て観たいと感じた。 本書で、近松の作劇は やはり面白いと感じた。2016/09/29

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