文春新書<br> 天才と名人―中村勘三郎と坂東三津五郎

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文春新書
天才と名人―中村勘三郎と坂東三津五郎

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  • サイズ 新書判/ページ数 255p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166610662
  • NDC分類 774.28
  • Cコード C0274

出版社内容情報

天才坊やとして早くから注目された勘三郎。渋い脇役の家に重い期待を背負って生まれた三津五郎。対照的な二人の芸と人生を描き出す。

歌舞伎界屈指のサラブレッド、名門の天才坊やとして早くから注目された勘三郎と、
渋い脇役の家に重い期待を背負って生まれた三津五郎。
相次いで世を去った二人の名役者は、奇しくも同学年に生まれた──。

勘三郎と三津五郎が並んで踊っていると「フジテレビとNHKが踊っている」と三津五郎の叔母に冷やかされたという。明るくてひょうきんな持ち味の勘三郎がフジテレビ、端正で基本に忠実な美しさを湛えた三津五郎さんがNHK、というわけだ。
生い立ちも、性格も、藝も、すべてが対照的だった二人は、しかし、他人には窺い知れない絆で固く結ばれていた。

「名人はどんなに曲がった形になっても、お尻の穴から頭の上へ、一本の棒が通ってますよ。寿さん(三津五郎)がそうで、僕もそれを心がけてる」(勘三郎)
「幼い時から切磋琢磨してお互いに競ってきました。もう二度と一緒にやれないかと思うと、人生の半分をもぎ取られたような、何とも埋めようのない喪失感に襲われています」(勘三郎が亡くなったときの三津五郎のメールより)

天真爛漫な天才が人生ではじめて抱えた鬱屈、謙虚な名人が覗かせた譲れない意地。
宿命の星の下に生まれた二人は、藝の世界で、短くも激しく火花を散らしてこの世を去った。
生前、親交の深かった劇評家が明かす不世出の役者たちの知られざる物語。

内容説明

名門の天才坊やとして注目された歌舞伎界のサラブレッド、勘三郎。渋い脇役の家に重い期待を背負って生まれた三津五郎。二人の名役者は、奇しくも同学年に生まれた。生前親交の深かった劇評家が描き出す、宿命の星の下に生まれた二人の物語。

目次

勘三郎の死―勘三郎七十七歳、三津五郎五十六歳
元気でやんちゃな勘九郎ちゃん―勘九郎三歳
粋にいなせに三津五郎―八十助六歳
彗星のように―勘九郎八歳、八十助七歳
テレビの虜囚―商業演劇の誘惑―勘九郎二十四歳、八十助二十三歳
狂言を踊る―勘九郎二十八歳、八十助二十七歳
二代目松緑、その技藝の継承―八十助三十歳
十七代目の金の粉―勘九郎三十三歳
納涼歌舞伎が始まる―勘九郎三十五歳、八十助三十四歳
『春興鏡獅子』と『京鹿子娘道成寺』―勘九郎三十六歳〔ほか〕

著者等紹介

長谷部浩[ハセベヒロシ]
1956年生まれ。慶應義塾大学卒。演劇評論家。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科教授。紀伊國屋演劇賞選考委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

49
人間同士でしか伝承しえない技。とても日本人らしい世界だと思う。このお二人が共演なさった踊りは素晴らしかった。いまだにもう拝見できないことに深い悲しみを覚える。2016/05/23

№9

35
元ロック少年で長じてサッカー親父を経て今は歌舞伎にハマっている自分は、観劇歴まだここ2年ほどの歌舞伎ビギナーだ。だから二人のことはリアルタイムでは知らないけど、DVDやシネマ歌舞伎でたまに拝見する二人の凄さはすぐにわかった。三津五郎さんを初めて観たときは衝撃的だったし、勘三郎さんのその芸はただただ愛おしさを感じさせるものだった。〝肉体の芸術ってつらいね。その全てが消えちゃうんだもの〟とは勘三郎さんの言葉らしい。二人をもう生で観ることは出来ないけれど、映画でもDVDでもいい、これからも二人を見続けていくさ。2017/05/24

ぷれば

30
天才と名人。中村勘三郎と坂東三津五郎。対極にあるかのごとき藝風、辿ってきた道、しかも同学年であり、切磋琢磨の藝道に生きた名役者。生前親交の深かった劇評家が、宿命の星の下に生まれた二人の歌舞伎役者を描き出したモノ。一時期、歌舞伎に魅了され通いつめた。当時のご贔屓は他の役者だったが、舞台ではいつもその一点に釘付けだった。訃報を知った時、涙がとまらず、本書も同様だった。彼等が託した歌舞伎の未来をいつか必ず観に行きたいと思う。 2016/05/28

kawa

29
歌舞伎に関しては勘三郎さんのコクーン歌舞伎・平成中村座を見た程度の経験値で、最初の10ページ位までもうダメ解らないという感じだったのだが、記述の端々に垣間見れる天才と名人の凄みに引きづられ完読。歌舞伎を扱う吉田修一氏の小説「国宝」の迫力が、さもありなんと納得できるような秀逸なノンフィクション。また興味を持って追っかけるテーマを得て嬉しい。改めてお二人の冥福をお祈りします。2019/05/09

若黎

11
冒頭から勘三郎さん、三津五郎さんの舞台姿が脳裏にパパ〜っと浮かんできて、ボロボロ泣きながら読みました。 歌舞伎という入り口を開いてくれたのは玉三郎さんですが、楽しい、面白いを感じさせてくれたのは勘三郎さんでした。2024/08/07

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