文春新書<br> 脳・戦争・ナショナリズム―近代的人間観の超克

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文春新書
脳・戦争・ナショナリズム―近代的人間観の超克

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  • サイズ 新書判/ページ数 238p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166610594
  • NDC分類 304
  • Cコード C0295

出版社内容情報

ヒトはなぜ集団に縛られ、無能なリーダーを選び、戦争に走ってしまうのか? 気鋭の若手が脳科学、社会科学、哲学の境界領域に挑む。

痛快すぎる知的刺激! 「近代的人間観を捨てよ」
脳科学・社会科学・哲学……新進気鋭の論客による白熱の議論10時間!

人類はなぜナショナリズムに高揚し、愚かな政治的リーダーを支持し、戦争をやめられないのだろうか? なぜ賢いはずのインテリがバカな政策を支持し、知性に溢れた科学者がサイコパスに翻弄されてしまうのか? あるいは、なぜ日本人は「空気を読む」のが得意なのに、外交が不得手で英語も下手なのか? ……じつは最先端の脳科学実験では、これらの疑問を解き明かすヒントが多数報告されている。
本書は新進気鋭の論客たちが、脳科学実験の成果や古今東西の哲人・社会学者の知見などをもとに、われわれが囚われている近代的人間観を乗り越えることを試みる。
「保守主義は危険」「ナショナリズムは悪」「改革は善」「人を見た目で判断してはいけない」……こうした思考は、すべて近代がもたらした迷妄にすぎない。
近代的価値観が捨象してしまったものの中にこそ、人間の本質がある。最先端の脳科学でも、それを裏付ける結果が出ているのだ。
本書に「きれいごと」は一切ありません!

◎男は女より知能が高い個体が多いが、バカも多い
◎ナショナリズムが快楽なのは「内集団バイアス」が働くから
◎ドーパミンが多い民族は進取の気性に富むが、浮気も大いにする
◎「自由」は人間の脳にとっては苦痛である。国民主権も民主主義も、脳には合わないシステムだった
◎イスラム国が世界遺産を破壊するのは、聖的なシンボルを破壊すれば共同体が滅びるから
◎生物学的に女性のほうが「保守」の本質を深く理解している
◎世の中にバカがはびこるのは、「B層」よりも「A層」に責任がある
◎脳内物質オキシトシンは人類社会をまとめるが、戦争にも駆り立てる

内容説明

「ナショナリズムは危険なもの」「知性で殺し合いは回避できる」「人を見た目で判断してはいけない」…これらは近代の迷妄にすぎません。脳科学、社会科学、哲学の若手論客が人間の本質を鋭く突いた白熱の討論10時間!

目次

序章 近代的人間観を捨てよ!
第1章 ナショナリズム―なぜ快楽なのか
第2章 国家と体制―なぜ自由は苦痛なのか
第3章 ポピュリズム―なぜバカがはびこるのか
第4章 暴力―なぜ人間は戦争をやめられないのか
おわりに 近代を超えられるか

著者等紹介

中野剛志[ナカノタケシ]
批評家。1971年生まれ。東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入省。エディンバラ大学で博士号取得(社会科学)。経済産業省産業構造課課長補佐、京都大学工学研究科大学院准教授などを歴任。専門は政治経済学、政治経済思想

中野信子[ナカノノブコ]
脳科学者。1975年生まれ。東日本国際大学教授、横浜市立大学客員准教授。東京大学工学部卒業、同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。医学博士。2008年から10年まで、フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務

適菜収[テキナオサム]
評論家。1975年生まれ。早稲田大学卒業後、出版社勤務を経て執筆活動を開始。ニーチェに関する一連の著作で論壇の注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佳音

76
銃・鉄・病原菌的と期待してたのね。たぶん。私。予約してやっとこさ来てこれかい。人は見た目が9割を科学的根拠をもって話す居酒屋談義。合わない酒は悪酔いする。ごめんなすって。2016/06/02

壱萬弐仟縁

48
適菜氏によると、マイケル・ポランニーが人間は人相によって言葉で説明できることより多くのことを既知としているらしい(17頁)。見た目が9割なのか? また、安倍首相は箸をきちんと持てないという。これは日本の本質的危機という(32頁)。最高責任者たるもの、日本文化の代表でもあるのだから。信子氏によると、内集団バイアスとは、身びいきが生じることという(40頁~)。群れることが生存のために必要だったという(42頁)。2016/07/26

HANA

47
鼎談。読んでいて以前『トンデモ本の世界』で紹介された遺伝子の本を思い出した。とりあえず初っ端から、ロンブローゾみたいな学説が披露されていきなり戸惑う。その後も学者が裏付けも無しにここまで断定するのかと、不安になる箇所が何個も。本書のテーマの一つが脱近代と知識万能主義に対する批判らしいが、B層やオタクに関する発言を読んでいると著者らが明らかに見下しているのがわかり不快。あとどこが悪いここが悪いという批判だけで終始しているのも特徴。多分一番頭が悪いのは、こんな飲み屋での政治談議みたいなのに金払った私だと思う。2016/04/28

おさむ

38
脳科学、社会科学、哲学の3専門家による近代的人間観を脱却しようという意欲的な鼎談。1970年代前半生まれという共通項からか議論は円滑に進む。中野さんの脳科学系の話が面白い。右翼は美人が多い。欧州人はドーパミンが減りにくい人が多い。日本は階層間流動性が高い平等社会なので、妬みが生じやすい。人間の脳は自分の意思で何かを決めることにあまり向いていない。近代は感情的な部分を排して理性で物事を決定しようとする態度が尊ばれるので知能は高まっている‥‥。3人とも同世代の橋下徹をコテンパンに批判していたのが印象的でした。2017/06/22

おおにし

22
中野信子さんの身も蓋もない脳科学の話がとても面白くて最近注目していますが(先日の「サワコの朝」にゲストで出てましたね)政治学者、哲学者とのこの鼎談は目からウロコの内容で興奮して読みました。最後は近代を超えるためのヒントで終わっていますが、人が脳内物質の分泌により思考、行動が制御されている以上、近代を超克するための我々の闘いのラスボスは結局自分自身の脳だということなるのでしょうか。面白く読み終えはしたものの次にどうしたらよいのかと読後感はちょっと重いです。2016/01/31

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