文春新書<br> 芥川賞の謎を解く―全選評完全読破

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文春新書
芥川賞の謎を解く―全選評完全読破

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  • サイズ 新書判/ページ数 233,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166610280
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0295

出版社内容情報

太宰治の「逆ギレ事件」から、辛口評で鳴らした石原慎太郎の引退までの秘話満載。名物文芸記者による日本一有名な文学賞の八十年。

日本一有名な文学賞「芥川賞」。今年、創設80年を迎える芥川賞ですが、1935(昭和10)年に行われた第1回芥川賞にノミネートされたものの、落選した小説家は次のうち、誰でしょう?
a.川端康成 b.芥川龍之介 c.菊池寛 d.太宰治
答えは最後に記しますが、この小説家は自分を落とした選考委員を逆恨み。「刺す!」とまで言い放って大事件に発展した前科を持ってしまいました。
あるいは最近では「都知事閣下のために(芥川賞を)もらっといてやる」発言で話題になった田中慎弥、史上最年少受賞で日本中を熱狂させた綿矢りさ、金原ひとみの受賞劇も記憶に新しいでしょうか。
普段は小説を読まないけれど「芥川賞受賞作が掲載される月刊『文藝春秋』だけは読む」という人も多いのですが、どうして芥川賞は文学の世界にとどまらず、社会的な事件にもなるのか。その秘密は、謎のベールに包まれたままの「選考会」に隠れています。
石原慎太郎『太陽の季節』、大江健三郎『飼育』など日本文学の名作から、文壇の大御所たちの大ヒンシュクを買った問題作まで、歴代の受賞作を生んだ現場ではどんな議論がなされたのか。ヒントは選考委員が書き残した1400以上の「選評」にありました。
「該当作なし!」連発の開高健、三島由紀夫の美しい選評――、半藤一利が語った「司会者の苦しみ」。
全選評を完全読破した記者が、ついに謎を明かします。
注目の芥川賞選考会。本書を片手に、選考会という「密室」で起きる事件に要注目です。(答えはd。事件の詳細は本書で)

内容説明

芥川賞80年、知られざる選考会の裏側。全選評を読破した文芸記者が、その舞台裏、謎に包まれた選考会に迫る!

目次

第1章 太宰治が激高した選評(太宰、落選する;川端を「刺す」と逆恨み;泣き落とし作戦 ほか)
第2章 戦争と選評(二・二六事件当日の選考会;「暢気眼鏡」と日中開戦;伍長の受賞と小林秀雄 ほか)
第3章 純粋文学か、社会派か(安部公房の出現;「第三の新人」の受難;芥川賞作家・松本清張 ほか)
第4章 女性作家たちの時代
(現実の女というものは;「曾野綾子は掘り出しおのではないか」;「いただきそこねねているの、恨みなんです」 ほか)第5章 該当作なし!(記者もむなしい「なし」の回;川端康成の爆発;「こんな新人なら一人も居なくてもいい」 ほか)
第6章 顰蹙者と芥川賞(大江健三郎の田中康夫「なんクリ」評;石原慎太郎に○をつけた人;×をつけた人 ほか)

著者等紹介

鵜飼哲夫[ウカイテツオ]
1959年、名古屋市生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。83年、読売新聞社に入社。91年から文化部記者として文芸を主に担当する。書評面デスクを経て、2013年から文化部編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ポスト丸山眞男・寺

88
「エピソードと選評で綴る芥川賞選考おもしろ話」ぐらいの内容であり、サブタイトルにある「全選評全読破」した事は内容をさほど左右していない。でもまあ面白く読める。有名な太宰治の芥川賞猛烈欲しがり騒動、石原慎太郎騒動、坂口安吾が松本清張の資質を見抜いた選評等は聞いた事のある内容だが、戦中戦後の火野葦平の話なんて面白かった。出征先で受賞したんだなぁ。恥ずかしながら火野葦平が自殺だと初めて知った。わかりやすい文学史である。私としては西村賢太にももっと触れて欲しかった。感心したのは、半藤一利が凄く頑張っていた事。2017/01/31

山田太郎

59
芥川賞がこれだけえらそうにできるのも、半分くらいは石原慎太郎のおかげな気もする。どうも作家というよりは政治家のイメージが強いんだけど。都知事やったから首相できなかったのかな、首相になれそうみないから都知事にいったんだったっけ。自伝読んでみたいけど、まだいろいろやってくれそうだし、なんだかんだで結構好きだな、石原慎太郎。2017/04/04

燃えつきた棒

43
五回も候補に挙げられながら落選し続けた佐藤泰志について、選評でどのようにふれられているか知りたくて手に取った。 だが、残念ながら、選評はおろか、彼についてふれている文章さえ無かった。 それでも、選考委員それぞれの小説に対する熱い思いが伝わってきて、予想外に面白かった。 僕はどちらかと言えば海外文学びいきなので、最近の日本の小説はあまり読んでいないが、選考委員達が何を選んできたのかに、少し興味が湧いてきた。/2020/12/31

そうたそ

41
★★★☆☆ 賞ウォッチャーとしては興味津々だった一冊。全選評を読破してきたという筆者が、選考会の裏側も含め、芥川賞の歴史に迫るという内容。内容は割と硬めで、極めて堅実に芥川賞の歴史を紐解くようなものとなっている。選考会の裏側についても触れられているのが個人的には興味深かった。「メッタ斬り」が世に出たことで、選評の面白さというのが広まったように思うが、割と昔から個性的な選考委員というのはいたようで。該当作なしを連発する開高さんなんてなかなかの際物だと思う。姉妹編として直木賞版も出してくれないかなあ。2015/08/25

B-Beat

39
◎芥川賞受賞作品と言えば、文壇の大御所達が選んだに過ぎず、したがって決して自分にとって面白くてページ捲りが止まらないものとなるのは限らないとかの先入観というか固定観念。そんな囚われの身ながらこの本を読むと「選評」という名のキーワードによって、俄然芥川賞受賞作品全般に新たな関心というか興味が引き立てられた。そんな中での自分にとっていの一番は宮本輝さんが「単なるイソップ物語の世界」と酷評した川上弘美さんの受賞作「蛇を踏む」についてのエピソード。川上弘美さんは宮本作品の信奉者だったからややこしくなったとか。2015/09/03

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