出版社内容情報
スタジアムで起こった人種差別事件を検証し、サッカーは差別といかに闘ってきたのかを探る。差別的横断幕事件を受けた緊急出版。
2014年3月8日、埼玉スタジアムで開催された浦和レッズ対サガン鳥栖戦において、浦和サポーターによって「JAPANESE ONLY」という差別的横断幕が掲げられた。Jリーグはこれに対して厳しく臨み、Jリーグ初の無観客試合という制裁を下した。
人種差別的かつ外国人嫌悪(ゼノフォビア)に基づくメッセージがスタジアムにも現れたことを受けて、サッカーをこよなく愛する文芸評論家・陣野俊史氏が緊急に書き下ろしたのが本書です。
内容は二つの柱からなっています。
一つ目は、スタジアムでこれまでどのような人種差別事件があったのか。
二つ目は、選手、クラブ、観客などサッカー界は差別とどのように闘ってきたのか。
本書は、この二つの内容を時間的には世界的な選手の移動を加速した1995年のボスマン裁定以後の20年、空間的にはサッカーの本場・ヨーロッパにしぼって詳述しています。
そこから浮かび上がるのは、アフリカ、アジアなどからの移民を受け入れてきたヨーロッパでは、今もなお、人種差別的な事件が起こり、それとの闘いも粘り強く続けられていることです。
多くの事件とその背景が選手の肉声などによって、具体的に明かされていきます。
人種差別的な言動を受けた選手たちのいたたまれない思い、尊厳を毀損された痛み、反撃できないもどかしさなども、身に迫ってくるはずです。
スタジアムで起きることは社会でも起きている、と著者は繰り返し書きます。
日本でも排外主義的な空気が高まるなか、差別を自分たちの問題として考えるための必読のテキストです。
内容説明
ここ20年、サッカーの本場ヨーロッパでは、どのような人種差別事件が起きてきたのか?サッカーは差別といかに闘ってきたのか?差別を受けた選手の足跡、差別と闘う団体の活動などを追いかけ、スタジアムと私たちの社会から差別をなくすためにはどうすればいいのかを考える。
目次
第1章 人種差別、その事件簿(エマニュエル・オリサデベの記憶(2000年)
ルイス・アラゴネスの、ティエリ・アンリへの暴言(2004年) ほか)
第2章 個人史のなかの差別―バーンズ、アネルカ、カランブー(ジョン・バーンズ;ニコラ・アネルカ ほか)
第3章 差別と闘う人びと(両刃の剣;スタジアムと社会は地続きである ほか)
第4章 コスモポリタンのレッスン(バナナを粉砕するためにはどうすればいいのか?;本質主義対反・本質主義 ほか)
著者等紹介
陣野俊史[ジンノトシフミ]
1961年、長崎県生まれ。文芸評論家。フランス文学、日本文学、サッカー、音楽など、批評の対象は広大(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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