文春新書<br> 嘘と絶望の生命科学

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文春新書
嘘と絶望の生命科学

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  • サイズ 新書判/ページ数 255p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166609864
  • NDC分類 460
  • Cコード C0245

出版社内容情報

STAP細胞事件は氷山の一角に過ぎない。バイオ研究の現場で何が起きているのか、元研究者で病理医の著者が背景を解き明かす。

「小保方さんなんてかわいいほうですよ」
世紀の大発見のはずが一転、論文不正やねつ造の報道にとってかわられ、世間を驚かせたSTAP細胞をめぐる騒動。しかし、バイオの研究者たちの実感はというと、「もっと真っ黒な人たちがいる」というものだった。

iPS細胞の発見にはじまり、再生医療や難病の治療、食糧危機や絶滅した生物の復活まで様々な応用可能性が期待され、成長産業の柱として多くの予算を投入されるバイオ。しかし、生命現象の未知の可能性と崇高な目的が謳われるその裏で、バイオ研究を取り巻く環境は過酷さを増している。若手研究者たちの奴隷のような労働実態、未熟で自己流の研究者が多数生み出される大学院の実態、絶対の存在である大学教授、続発する研究不正……。

STAP細胞騒動の背景には何があったのか。一連の騒動によってあぶりだされた知られざるバイオ研究の虚構の実態を、かつて生命研究の一端に身を置いた科学ジャーナリスト賞受賞の病理医が、あらゆる角度から徹底検証。バイオの未来を取り戻すための提言を多数盛り込んだ決定版の1冊です。

内容説明

iPS細胞の臨床応用にはじまり、難病の治療、食糧危機解決まで、あらゆる夢を託された生命科学。しかし、予算獲得競争は激化、若手研究者の奴隷化が進むなかで、研究不正が続発―。今や虚構と化した生命科学研究の実態を、医師にして元研究者の著者が厳しく問う。

目次

はじめに いま、生命科学に何が起きているのか
第1章 「奴隷」が行うバイオ研究
第2章 ブラック企業化する大学院
第3章 カネが歪めるバイオ研究
第4章 研究不正―底なしの泥沼
第5章 バイオを取り戻せ

著者等紹介

榎木英介[エノキエイスケ]
1971年、神奈川横浜生まれ。病理専門医、細胞診専門医。95年東京大学理学部生物学科動物学専攻卒。同大学院博士課程中退後、神戸大学医学部医学科に学士編入学。2004年医師免許取得。06年博士(医学)。現在、近畿大学医学部病理学教室講師。病理医として病院勤務を続けつつ、科学技術政策をウォッチする活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます

30
STAP細胞“捏造”騒動の背景にある生命科学研究の世界の実態を、同分野の元研究者であり現役の病理医の著者が記した一冊。この問題をめぐっては、なぜこんなお粗末なことが見過ごされたのかと疑問だったが、厳しい予算獲得競争のもとで研究者は目先の成果に追い立てられ、若手は不安定な身分のまま満足な教育も受けずにこき使われている実態を本書で知り、個人の問題に還元できない構造的なゆがみがあったのだと気づかせてくれた。それだけに根が深いのも事実だが、今回の騒動を契機に議論がすすみ、少しずつでも改善へと向かってほしいと思う。2015/03/01

ろくせい@やまもとかねよし

17
バイオ研究分野で生じたSTAP事件やディオバン事件の研究不正事案について考察する。黒川清博さんの指導者の日常の教えと言動が教育に反映している指摘を引き、主に大学でのバイオ分野の教育研究を対象とする。米国の不正防止対策やキャリア支援、東京大学の進振システムなどを紹介。日本のバイオ研究では、研究資金獲得に密接にリンクした成果原理主義の蔓延し、教授・准教授・助手などで構成する階層的な研究体制から、教育が疎かとなり、不正事案が生じていると分析。研究不正を行った当人の振る舞いや動機が最大の問題のような気もするが。2014/11/09

魚京童!

13
しょうがないよね。だって人数が少ないんだもん。明らかになったから何って話は多い。薬みたいに使える、使えないがはっきりしているわけではないし。お金をもらえればいいんでしょ。どうしようもないよね。嘘もつき続ければいいと思うんだ。どうせ能力によってバレるばれないがあるだろうし。2019/10/05

シルク

10
割烹着にピンク色、巻き髪にでかい指輪にムーミンに...のあの騒ぎがもう、6年前か。「STAP細胞は、あります」て、ほい??そういう「ありますありません」という信念の話じゃなかろう?とか。テレビをつければマスコミが、山中伸弥教授と小保方氏のキャリアを比較して「こんな立派な経歴の持ち主なのだから、小保方さんは、より優秀なのだ」→「そんな優秀な彼女の言うことなのだから、『STAP細胞はやっぱりある』のだ」とか、この人ら正気か?と、思うような議論を真面目そーな顔してやっていたり。何なんやこれ?と思って、読んだ本。2015/06/01

ソーシャ

6
タイトルはセンセーショナルで内容も少し言い過ぎではと思う箇所がありましたが、バイオ研究をめぐる構造的な問題を分かりやすく解説した新書。ポスドク問題についての本で有名な著者だけあって、研究者の厳しい現状や、日本の科学技術政策の問題点、ミスコンダクトが生まれる背景などについて詳しく書かれています。一通りの基礎知識については触れられているので、研究不正(ミスコンダクト)についての入門書としても読める本です。2014/09/19

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