文春新書<br> 首都水没

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文春新書
首都水没

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  • サイズ 新書判/ページ数 249p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166609802
  • NDC分類 369.33
  • Cコード C0295

出版社内容情報

ゲリラ豪雨が深刻化すれば、都内でも地下鉄が長くストップし、東京駅が浸水しかねない。洪水研究の第一人者が都内危険マップを例示。

昨年、ゲリラ豪雨が多発し、和歌山や奈良の山間部に大きな打撃を与えました。都市部もいつ、壊滅的な打撃を受けてもおかしくはありません。事実、東京では昨年、神田川が警戒水域を超えたため警報が鳴り、二子玉川駅そばの高級マンションが、床上浸水しています。なぜ、ここまで事態が深刻化してしまったのでしょうか。
温暖化による気候変化が大きな要因であるのは言うまでもありません。しかし、東京都建設局課長、江戸川区土木部長などを歴任した著者の土屋信行氏は、「それ以上に、行政の対策が後回しにされていることが問題だ」と説きます。
たとえば、江戸川放水路や荒川放水路はそもそも、利根川水系が氾濫し、東京の中心部が浸水することを防ぐために作られました。言い換えれば、江戸川以東、荒川以東に水が逃げるようにできています。当時はそれでよかったでしょうが、都市開発が進んだこの地区をいま豪雨が襲えば、多くの世帯が甚大な被害を受けかねません。にもかかわらず、放水路の東側は100年近く、放置されたままなのです。
土屋氏が危険だと指摘する都内の場所は幾つもありますが、その1つが東京駅です。周辺が低地であるため、実は水没と隣り合わせの状況にあるのです。また地下鉄も早急に対策が求めらます。いまの構造のままだと、地下鉄に流れ込んだ水が、日比谷駅や銀座駅あたりで吹き出すことが懸念されています。すでに、台北の地下鉄で同様の事態が起きており、復旧には3ヵ月を要しました。
洪水対策の第一人者が、都内の危険地区を示すとともに、あるべき強靭化の方策を提案します。

内容説明

ゼロメートル地帯が4割を占め、多数の地下鉄が走る東京は、きわめて水害に弱い構造である。仮に利根川で氾濫が起きれば、浸水区域内人口約230万人、死者数約6300人という膨大な数になると予想されるのだ。首都水没、驚愕のシミュレーション!

目次

第1章 山の手にも洪水は起こる
第2章 東京は世界一危ない場所にある
第3章 地球温暖化で首都は壊滅する!
第4章 利根川の東遷事業が東京を危険都市にした
第5章 雨が降らなくても洪水になる「地震洪水」
第6章 なぜ東京は世界一危ないのか?
第7章 東京の三大水害に学ぶ―明治43年の「東京大水害」/大正6年の「大海嘯」/昭和22年の「カスリーン台風」
第8章 洪水は流域一帯で起こっている!
第9章 強靱な日本を創るために

著者等紹介

土屋信行[ツチヤノブユキ]
1975年東京都入都、道路、橋梁、下水道、まちづくり、河川事業に従事。この間、環状7号、8号線の設計・建設、下水処理場・ポンプ場設計・建設、多摩ニュータウン、つくばエクスプレス六町駅土地区画整理事業、秋葉原及び汐留再開発事業のまちづくりに携わる。ゼロメートル地帯の洪水の安全を図るため、2008年に、海抜ゼロメートル世界都市サミットを開催し、幅広く災害対策に取り組んでいる。東日本大震災の復興では、まちづくりの学識経験者委員として、宮城県女川町の復興に取り組んでいる。公益財団法人えどがわ環境財団理事長、公益財団法人リバーフロント研究所理事、一般社団法人全日本土地区画整理士会理事、土木学会東日本大震災特別委員会タスクフォース委員、ものつくり大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

雲をみるひと

34
東京の水害の危機に警鐘を鳴らした本。自然科学的な視点での考察に欠けるからか総論としてまとまりを欠く印象は否めないが、構成されている章の中には出色のものがある。作者自身の経験に加え、特にあまり当該地域に特化した書籍が多くない東京東部の伝承や文献がよく調査されていて参考になる。2022/01/02

kinkin

29
地下に迷路のようにはりめぐされていぶた地下鉄、天井川、堤防の決壊。 首都を大地震が襲った時、首都はどうなるかを過去の事例や最近の科学的データを基にわかりやすく書かれている。本書に書かれている内容で気になったことは、東北には先人が体験した津波を基に津波石というものがあること。置かれた場所より下に家を建てるなと警告すもののようだ。今回の東北を襲った地震で改めて、最先端の科学が大きな天災の前ではまだまだ脆弱だということを知った。良書。2014/09/07

壱萬参仟縁

27
著者は女川復興にも尽力されている。水害に弱い東京。ゼロメートル地帯が4割も(表紙見返し)。東京は世界一の災害危険都市(28頁)。図2は大地にはさまれた東京の断面図(35頁)。すると逃げ場がないと思えてくる。日本を必ず襲う台風と洪水(66頁~)。利根川で洪水が起これば、必ず東京にやって来る(84頁)。葛飾地区で地盤沈下顕著=水没民有地(116頁)。そもそも堤防は、洪水で川を挟んで左岸が切れれば右岸は切れず、右岸が切れれば左岸は切れず、上流が切れれば下流は切れない(162頁)。2015/01/30

シュラフ

26
"荒川は右岸(江東区)よりも左岸(江戸川区)の堤防の方が低い"というのは都市伝説ではなかった。江戸川区の住人にとってはショッキングな話であるが、東京都庁の元役人の筆者が書いているのだから本当の話なのだろう。なぜなら"荒川の東側は東京の遊水地"だからである。利根川は江戸湾に流れ込んでいたのを河道の付け替えたものなのでもともと無理がある。いったん洪水がおこれば昔の川筋である荒川方面に流れてしまうのである。東京のリスクは地震と火事だけではなく、水害のリスクも大きいのだということを教えてくれる東京人必読の一冊。2016/02/21

太田青磁

25
東京東部低地では、ゲリラ豪雨で命を失うような水難事故の可能性は低い・江東区、墨田区、江戸川区の辺りは、東京湾の干潮位より低くなってしまいました。ゼロメートル地帯の出現です・日本最大の流域面積を持つことになった利根川の水を、堤防一枚で東京から銚子の方へ無理やり流している・東京の地下水には、大量のメタンガスが含まれていた・家を建てる時は、堤防より高く建てろ・水災害の大きな特徴として、洪水が流域を範囲として起きる・福島第一原発が設計当時の最新の知見を取り入れたのに対し、女川原発が古くからの先祖の言い伝えを守った2014/09/27

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