文春新書<br> 生命はどこから来たのか?―アストロバイオロジー入門

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文春新書
生命はどこから来たのか?―アストロバイオロジー入門

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  • サイズ 新書判/ページ数 286p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166609307
  • NDC分類 460
  • Cコード C0245

出版社内容情報

惑星科学の第一人者・松井孝典東大名誉教授が、最新の宇宙探査データから、生命の起源と進化、地球外生命体の可能性について論じる。

惑星科学の第一人者・松井孝典氏が著わす「アストロバイオロジー」の決定版です。アストロバイオロジーとはNASA(アメリカ航空宇宙局)が命名した、生命の起源と地球外生命体の存在を追究する21世紀の生物学です。本書ではまず、「最古の生命体はなにか」などをテーマに、生命の起源と進化について論じます。そして、数千メートルの深さの海底や地下深部など、地球上の極限環境でも生き延びられる生物に着目します。なぜなら、こうした極限環境は他の惑星の環境と似ている点が多く、そこに棲める生物は、地球外でも生存できる可能があるからです。と同時に、深海で熱水がわき出る熱水噴出孔付近は、原始地球に近い環境にあるので、最古の生命体を特定する手がかりになるからでもあります。
また、「宇宙には生命が満ち溢れている」ことを期待させる新発見も続いています。たとえば、地表で探査車が調査を進めている火星では、液体の水が大量に存在した証拠となる堆積岩や、水が流れたことを示す地層が見つかっています。木星の惑星の1つエウロパは、表面は厚い氷に覆われていますが、地下には海があると見られています。また、土星の最も大きな衛星であるタイタンでは、メタンの雨が降り、川のような跡を作っていることが確認されています。このタイタンの内側を周回するエンセラダスには活火山があり、地表に有機物が存在することが発見されました。これらはいずれも、生命が存在する、あるいは存在した可能性を示すものです。そして太陽系外では、地球と似た環境をもつと見られる惑星が次々に発見されているのです。
惑星科学における最新情報満載の一冊です。

内容説明

NASAは「生命はどこから来たのか?」を21世紀の宇宙探査のテーマとし、「アストロバイオロジー」と名付けました。これは「生命とは何か」「生命はいかに地球に出現し進化したか」「我々は宇宙で孤独な存在なのか」が柱となります。本書では、その最先端を紹介します。

目次

第1章 アストロバイオロジーとは
第2章 生命起源論の歴史的展開
第3章 宇宙と生命
第4章 生命とは何か―地球生物学の基礎
第5章 生命と環境との共進化
第6章 分子レベルで見る進化
第7章 極限環境の生物
第8章 ウイルスと生物進化
第9章 化学進化―生命の材料物質の合成
第10章 宇宙における生命探査

著者等紹介

松井孝典[マツイタカフミ]
1946年静岡県生まれ。理学博士。東京大学理学部卒業、同大学院博士課程修了。専門は地球物理学、比較惑星学、アストロバイオロジー。NASA客員研究員、東京大学大学院教授などを経て東京大学名誉教授。2009年より千葉工業大学惑星探査研究センター所長。12年より政府の宇宙政策委員会委員(委員長代理)。1986年、英国の『ネイチャー』誌に海の誕生を解明した「水惑星の理論」を発表、NHKの科学番組『地球大紀行』の制作に参加。88年、日本気象学会から大気・海洋の起源に関する新理論の提唱に対し「堀内賞」、07年、『地球システムの崩壊』(新潮選書)で、第61回毎日出版文化賞(自然科学部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

♡kana*

20
個人的、夏の課題図書(笑) 【赤い雨】から、話が広がって、生物、宇宙、進化、ウイルス、……と。生物の初心者の私にも分かりやすい内容で、興味深いことばかりです。どうやって生命が誕生したのか、宇宙のどこかに生命が存在するのか、まだまだ分からないことばかりなんですね。地中生物、極限生物。 また、学生になれるとしたら、研究してみたい分野。 【科学上の新発見は、常識にがんじがらめにとらわれていたら難しいのです。】【細胞内共生説】【死とは、エネルギーが供給されなくなって、乱雑になっていくことです。】【チューブワーム】2015/09/13

あちゃくん

19
宇宙のこと、生命のこと、地球のこと。知的好奇心の地平は限りなく広がっているんだなということにワクワクさせられます。こんなことまでわかったんだという感心と、でもまだまだわからないことだらけなんだという驚きとが入り混じった興奮がおさまりません。2013/09/23

卯月

7
職場本棚、2013年刊。著者の別書既読で、惑星科学のプロなのは知っているので、本書で言うと10章「宇宙における生命探査」に当たる内容の深掘りを期待して読んだのだが、全10章のうちの10章だけだった(泣)。(宇宙に生命を探す前提条件として)そもそも生命とは何か、と地球上の生物学全般の本の感じ。原核細胞、真核細胞を図なしで文章だけで説明されるのと、蛋白質の化学式が縦書き文中の横書きで記述されるのは辛かった……。地球から打ち上げる探査機にも微生物が付着しているが、装置壊れるから高温殺菌できない、というのは成程!2024/11/23

みのくま

7
読む事で、価値観が転倒する、又は世界の真実に触れられた気がする本はそう出会えるものではないが、本書はそういう類いのものだ。本書は、単純な自然科学系新書の入門書ではない。「我々はどこから来たか」「生命とは何か」がある種哲学的に考えさせられる、とても射程の広いものであった。特にウイルスを生命とするかどうかといった「生命の定義問題」は非常に興味深い。そしてアリストテレスから端を発した「人間・地球中心主義」へと迷走する文明。これは「中動態の世界」にも通じる問題だ。とりあえず、スリランカの赤い雨の勉強をしよう。2017/09/10

武夫原

7
松井さんといえば、宇宙論の論者だと思っていたが、さすが第一流の研究者はちがうな。内容はそんなに専門的ではないけれど、いろんな分野の成果をまとめています。考えれば考えるほど、人間のDNA構造はどうやって出来たのか不思議だ。一昔前なら、宇宙から生命の元が来たなんていえば荒唐無稽の話と切り捨てられたのかもしれない。或いは地球の生命は地球で生まれてという常識にとらわれていたのかもしれない。原始地球で元素に化学反応が起きてアミノ酸になり、それが原核生物になる道筋が分かればすごいなぁ。 2015/05/24

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