出版社内容情報
天皇の「藩屏」たる皇族は、なぜこぞって軍人になったのか。軍功、出世、スキャンダルなど、明治から大東亜戦争までの軌跡を追う。
内容説明
明治以後、大元帥として陸海軍を統べる天皇のもと、男子皇族はこぞって軍人となった。だが、軍は徹底した能力社会。はたして、彼らはどんな歩みを辿ったのか?その姿を克明に記す画期的大作。出世は・軍功は?そして戦争責任は?明治から敗戦まで、天皇を支えた全48人の栄光と失意。
目次
第1章 皇族はなぜ軍人になったのか(王政復古・戊辰戦争のころ;皇族、軍人となる;ノブレス・オブリージュと職業選択)
第2章 優遇された宮様たち(無試験入校と子供の誕生;外国での待遇、日本でのあつかい;進級と人事での優遇)
第3章 二人の統帥部長(参謀総長;軍令部総長)
第4章 明治の出征(内戦;日清・日露戦争)
第5章 昭和の軍と皇族(クーデタ疑惑;中国との戦争;米英などとの戦い;敗戦と裁き)
著者等紹介
浅見雅男[アサミマサオ]
1947年、東京都生まれ。70年に慶應義塾大学経済学部卒業後、雑誌・書籍の編集と日本近・現代史についての研究・執筆に従事する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おかむら
36
明治天皇が大元帥になってしまったため他の皇族男子もほぼ全て軍人になることを義務づけられたそう。江戸時代まで京都でお歌を詠んだりとのんびり暮らしてきた宮さまたち。日清日露日中太平洋と徹底した能力社会の日本軍のなかで彼らはどんな歩みを辿ったか? 明らかに軍人に向いてない人が多くて可哀想だか面白かったー。それにしても皇族ってこんなに多かったのね。山階宮(サーヤの鳥類研究所の)や朝香宮(庭園美術館の)や竹田宮(孫がやらかす)など聞いたことある宮家もあり、固めの内容ながら所々でニャっとさせられる文章も好み。2016/08/13
金吾
26
皇族と帝国陸海軍の関係がわかりやすく書かれています。いろいろな問題はあったみたいですが、ノーブレスオブリージとして明治天皇が皇室に軍務をつかせたことが国民と皇室を近づけたのではないかと感じました。華族との違いを感じます。2023/04/03
鐵太郎
11
明治・大正・昭和と三代にわたった天皇は、国家のためにほとんど無私の努力を払ったようです。そしてその直接の家族はその意志をそれぞれの立場で継いで生きたと思われます。しかしその藩屏たるべきそれ以外の皇族はいったいどうだったのか。軍務に服した皇室のメンバーの記録という事で興味深いところがありますが、それ以外にもいろいろ考えさせられる本でした。2010/10/25
ネコ虎
9
昭和史に皇族がたまに出てきても関心は薄かったが、この本を読んで軍人となった皇族の姿をかなり詳しく知ることができた。著者は客観的な著述に徹しており、ヘンな偏りを感ぜず安心して読めた。男子皇族は皆軍人となるべしという明治天皇の決定は、さぞかし皇族にとってはつらいものだったに違いない。いくら優遇されたとはいえ、軍人に適していない皇族にはかなか厳しかったであろう。必ずしものっぺらぼうの皇族ばかりでなく、個性的な人もいたようで面白い。昭和天皇の3人の弟君は政治に関わって兄に嫌われたようだ。(続く)2017/02/26
nori
6
Situation of royal officers in this book is almost similar to what I imagine. However, if officers in Imperial Army would have been well trained as war personels, those nobles might not have their turns. In fact it was NOT world of ability but in-order!2017/06/16