出版社内容情報
ナチスに追われたユダヤ人たちを満州に逃がした男は、後にアッツ島玉砕作戦の指揮官となる──。歴史に翻弄されたその生涯を描く。
内容説明
昭和十三年、ナチスに追われたユダヤ人を満州に逃がした陸軍軍人・樋口季一郎。五年後、戦局が傾く中、今度は司令官として非情の決断を迫られる―。運命に翻弄されたヒューマニストの生涯を追い、戦場における生と死のドラマを描く力作評伝。
目次
序章
第1章 オトポール事件の発生
第2章 出生~インテリジェンスの世界へ
第3章 ポーランド駐在~相沢事件
第4章 オトポール事件とその後
第5章 アッツ島玉砕
第6章 占守島の戦い
最終章 軍服を脱いで
著者等紹介
早坂隆[ハヤサカタカシ]
昭和48(1973)年、愛知県出身。ルポライター。日本文藝家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
58
この軍人の名前は本書で初めて知った。本書の中核をなすのはオトポール事件。1938年にナチスの迫害を逃れようと満洲近くのオトポールにやってきたユダヤ人たちの入国を満州国政府が拒む中、その受け入れを要請し、対応に奔走した当時の満洲特務機関参謀だった樋口だった。過度に美化することもなく、また2万~3万という数値の信憑性に疑義すら上げながらも、この出来事をその人物像と繋ぎながら書き上げている。またアッツ玉砕時の軍司令官であり、同時にキスカ救出の指揮も担っていたとか。ここでの軍人としての苦悩も巧みに描写している。2023/12/23
樋口佳之
53
「日本の歴史家は、日本の負け戦しか書かない。北方でソ連軍に勝った戦闘には、ほとんど目を瞑っている。それはそれで不自然なことだし、非常に残念なことだ」/戦後、樋口はレフ・トルストイの『アンナ・カレーニナ』の全訳に挑戦し、やり遂げている。/陸大卒業生っていう方はやっぱり勉強家なんだな。まず思いつかないし、やり出しても最後まで続かないのが普通2021/12/09
五右衛門
51
読了。暑いこの時期毎年祖父を偲んで戦争関連作品を読んでいますが毎回ロシアにははらわたが煮えくり返ります。けれども今作品は最後の防衛ラインで死守して頂いた司令官、先人の方々の話でした。頭がさがります。今国内外がキナ臭い時代です。が どうか英霊の方々も力をお貸しください。我々も頑張ります。との思いを新たにしました。2022/08/29
さばずし2487398
38
恥ずかしながらアッツ島、占守島、そして樋口季一郎中将を初めて知る。 多数のユダヤ人を救いヒグチルートとして戦後も感謝される軍人と同時に、忘れてはならないのはアッツ島玉砕とソ連軍から北海道を守った占守島の指揮官であった事。この闘いがなければ日本は朝鮮半島と同じ東西に分けられていた事は容易に理解できた。私の父もロシア人となり私は存在しなかっただろう。自分にも多大な犠牲と最後の時迄苦しんだ指揮官の人生に繋がる。 私達はもういい加減自虐史観をやめ英霊達の真実の姿を見つめるべきではないのか。知らない事が多過ぎる。2021/09/20
岡本正行
29
あまり広く知られていない陸軍の幹部、華々しい実績はない、しかし自らの信念に基づく、この指揮官、大英断というか、型に入った将軍ではない、なにが日本、国民、軍にとって必要か、特に、日本軍、変な偏った考え方の多い日本人、撤退などは恥ずかしいことと考えがちだ、アッツ島何万人もの将兵が戦病死、しかも苦しんだ挙句の末、それにかんがみて、次のアメリカ軍の攻略目標キスカ島から兵力の全面撤退、見事、立派。変なメンツや沽券は捨て、無駄な戦いは、やめる、それこそ名将。その後の終戦時のソ連軍への抵抗、北海道は戦後、無事であった2022/01/31
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