文春新書
松本清張の「遺言」―『神々の乱心』を読み解く

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  • サイズ 新書判/ページ数 264p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166607037
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0295

出版社内容情報

清張さんを道案内に宮中の奥深くに入る。
『神々の乱心』を10回以上精読し、そこにこめられた「松本清張と天皇制」の秘密に迫る!

内容説明

松本清張の「遺言」『神々の乱心』を読み解く。最新の天皇研究をリードする気鋭の著者が、晩年の松本清張が総決算を意図した遺作を手がかりに、宮中の奥深くにまで分け入って、天皇制と昭和史という二つの巨大な謎に迫る。

目次

第1講 『神々の乱心』までの道のり
第2講 「皇居」―女官と宗教
第3講 「秩父」―弟とクーデター
第4講 「吉野」―南朝と自称天皇
第5講 「足利」―忠誠と反逆
第6講 「満洲」―神器と凹面鏡
最終講 清張の遺言、予言とは何だったのか

著者等紹介

原武史[ハラタケシ]
1962(昭和37)年、東京に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本経済新聞社に入社、東京社会部記者として昭和天皇の最晩年を取材。東京大学大学院博士課程中退。現在、明治学院大学教授、専攻は日本政治思想史。著書に『「民都」大阪対「帝都」東京』(講談社選書メチエ、サントリー学芸賞受賞)、『大正天皇』(朝日選書、毎日出版文化賞受賞)、『滝山コミューン一九七四』(講談社、講談社ノンフィクション賞受賞)、『昭和天皇』(岩波新書、司馬遼太郎賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sofia

40
『神々の乱心』は上巻しか読んでいない。100分de名著の松本清張スペシャルはおもしろかった。そしてこの本。古事記や三種の神器など理解するのが難しいところもあるが、初めて知ることが多かった。貞明皇后と昭和天皇の確執、女官と宗教、秩父宮、満州…。それらを松本清張が推理しているのを読み解いている。2019/05/11

とろとろ

26
一般的に歴史は、「編年体」で書かれるが、清張は現代から過去へさかのぼって書いていく「倒叙法」がいいのではないかと考えた。歴史上の重要な事件、例えば昭和史におけるニニ六事件を中心点とすると、そこに至る過程を倒叙法で、それに付随して起こる事件を編年体で書く。現代は実証史学が中心となっているが、実証出来ない歴史こそ真実である。「万世一系」天皇制の研究では三種の神器を守ることが重要であり、谷崎潤一郎の「吉野葛」の冒頭にその後の南朝(後南朝)の解説で触れられている事など、たいへん参考になった。2015/12/17

midnightbluesky

11
どちらかというと、清張学・論に近い。清張が推理していたことを推理する時代になってしまったのか、と遠い気持ちになったが、これからも伸びてゆく分野、それが清張学なのかも。2013/09/15

moonanddai

8
以前のレビューで、「昭和史発掘」では昭和天皇と秩父宮あるいは貞明皇后(皇太后)との微妙関係が分かりづらいと書きましたが、その理由がわかりました。「昭和史」執筆時点ではその辺のところがまだ「実証」されていなかった、作家としての「着眼点」でしかなかったということなんですね。その後、その辺の「状況証拠」(側近日記など)が出てきて、次第に見えてきた…。とすれば、清張の「眼」というものは相当鋭いということです。「神々の…」はボリューム的に敬遠しようと思ったのですが、「解説」を読んでしまいましたので挑戦しないと…。2016/04/18

koji

8
「神々の乱心」と併せて読みました。著者の思考は馴染みやすく、すんなり頭に入ってきました。本書によれば、清張は、週刊文春連載中に「神々の乱心」に「飽きちゃった」らしいのですが、著者はしつこく結末のシナリオを予想します(この辺りのねちっこさも面白いです)。シナリオ1(月辰会の滅亡は1936年、二・二六事件がモデル)が最もありそうですが、天皇制との結びつきが鍵でしょう。それにしても原武史さんの歴史観はユニークですね。「女神記」、「神器」にも手を出したくなりました。また高橋和巳「邪宗門」も再読したいですね。2013/09/11

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