内容説明
「天声人語」のお澄ましした意見では今の日本のことは何もわからない。この世のおかしさ、うさんくささ、不思議さを、「人声」で映し出す世相コラム。それが「人声天語」。
目次
万引きとビジネス
嫌犬権(KENKENKEN)
「ネット心中」に未来はあるか
大人の時間と子供の時間
夏の季語としての「戦争」のイメージ
それは飲酒運転ではなくアル中運転だ
「少額の畑泥棒」の謎
個人商店の政党
気分はもう戦争
日本共産党が「当面」とはいえ、天皇制を「容認」だって!〔ほか〕
著者等紹介
坪内祐三[ツボウチユウゾウ]
1958年東京生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。「東京人」の編集者をへて評論家に。『慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り』(マガジンハウス)で講談社エッセイ賞を受賞。雑誌「en‐taxi」の編集も手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
123
月刊の文藝春秋に連載されていたもの(5年間)で、私は当時から比較的興味を持って読んでいました。言いたいことをかなりずばずば書いているので好き嫌いはあると思います。私にはフィーリングが合って最近またこの著者のものをよく読んでいます。今読み直してみると、当時の事件などの状況がよくわかります。2016/12/22
もりくに
37
文芸春秋の巻末に、先ごろ急逝した坪内祐三さんによって書き継がれていた、スタート(2003年)から2008年までを纏めたもの。「人声天語」は、「天声人語」の対語でない、と。「天声」はパブリックで、「人声」はプライベートだから、「人声天語」は反射神経による思考とのこと。その例として川崎の古本屋で万引きした中学生が逃走を図り、電車にはねられた事件。(2003年 うっすら記憶ある。)報道直後、古書店に抗議が殺到、思い悩んだ店主は閉店を決意。一連の経過の中で、個(万引き少年)と個(新古書店の店長)の問題が、(続)2020/01/18
駄目男
17
天声人語ではなく人声天語天語である。人声天語とは、あくまでも個人的な声という意味らしいが、文筆家として読書家としてかなり豊富な知識と自信がおありだ。坪内氏は古本界では有名な人だったが先年、お亡くなりになった。本書は20年ほど前の時事を主に扱っているが、時に痛烈に、また辛辣に物事を批判している。批判精神なくしてコラムなど書けるわけがないのだが、いざ、自分もコラムニストになってみようかなという、そんな甘いもんではない。すべてのことに精通していなければ、おいそれと書けるものではなく、坪内氏のように多くの2023/08/26
Inzaghico (Etsuko Oshita)
9
通りいっぺんの報道に感じた違和感を、とことんほじくっていくのはツボちゃんの得意技。星セント・ルイスの訃報から記憶を掘り起こして、インターネットの「正確さ」を論じた「ネット時代の『正確』な知識について」は、1980年代の漫才ブームを懐かしく思い出しながら、と、ここまで書いてツボちゃんの文章を見返したら「セント・ルイスが漫才コンビとしてピークを迎えたのは(中略)七六~七七年前後のはずである」とある。自分の主観=事実となってしまっていた。反省。 2021/11/20
マッピー
7
月刊誌に連載されたコラム。2003年から2008年まで。ああ、そんなことあったなあと思い出せるくらいの過去。例えばプロ野球のオリックスと近鉄が合併して、パリーグが5球団で行われようとしたこと。朝青龍が巡業を休んでおきながらモンゴルでサッカーに興じたこと。スーパーの店頭から納豆が消えたこと。などなど。街の本屋さんや良心的な出版社が消えていくのは私も寂しいし、ものすごく残念だ。そこは激しく同意をしておく。2017/10/10