内容説明
フルトヴェングラー、バーンスタイン、カラヤンからロストロポーヴィチまで―音楽と人生への“思い”が鮮明に刻印された、クラシックの巨匠たち九人の「最後のコンサート」の物語。
目次
第1章 音楽は止まったか―トスカニーニ
第2章 第三楽章で止まった指揮棒―バーンスタイン
第3章 何の事件もなかったコンサート―グールド
第4章 交響曲史の「始点」と「終点」―フルトヴェングラー
第5章 「ゴルゴダの丘に向かうイエス・キリスト」―リパッティ
ボーナストラック 最後の指揮はフリーメーソンのために―モーツァルト
第6章 ブルックナーでピリオドを―カラヤン
第7章 札幌・厚生年金会館にて―カラス
第8章 「俺を聴きたければ地の果てまでついてきな」―クライバー
第9章 ステージも客席も涙した『悲愴』―ロストロポーヴィチ
著者等紹介
中川右介[ナカガワユウスケ]
1960年生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。現在、「クラシックジャーナル」編集長、出版社「アルファベータ」代表取締役。ドイツ、イタリア、アメリカなど海外の出版社と共同・提携し、芸術家や文学者の評伝の翻訳本を出版する傍ら、自らもクラシック関係の著書を執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鉄之助
241
タイトル通り世界の「巨匠」たちの劇的なラストが楽しめる。「歌に生き、恋に生きた」マリア・カラス。1974年、札幌厚生年金会館でのラストコンサートがドラマチックだった。2024/04/18
Fondsaule
11
★★★☆☆ トスカニーニ、バーンスタイン、グールド、フルトヴェングラー、リパッティ、カラス、カルロス・クライバー、ロストロポーヴィチの最後のコンサートが語られる。最後のコンサートなので病魔に侵されていて・・・ というパターンも多く、バーンスタインなんかは途中で立っているだけになってもオケが演奏は続けていたという話だ。こうなるともう伝説だ。2018/05/15
美東
6
「カラヤンに関わったオケ」という基準で「世界の10大オーケストラ」(幻冬舎新書)という著書をあらわした中川右介氏だけあって、とりあげられた「巨匠」たちは多かれ少なかれカラヤンとなんらかの関わりがある。しかし、私としてはイタリアの指揮者G.シノーポリ(1946~2001)をとりあげてもらいたかった。なんといってもシノーポリは「アイーダ」本番中に倒れて帰らぬ人になった、まさに「ラストコンサート」な人だった。2018/12/16
巨峰
6
世界的に著名な10人の音楽家のラストコンサートをカラヤンを横軸に綴ったエッセイ。演奏家という人たちが何なのか少しわかった気にさせてくれます。2010/07/18
愛理ちゃん88
4
ロストロポーヴィチの章は結構深い内容。例えば中川氏のルーツが語られる。芸術は政治に利用され、振り回されることもあるので芸術家として自由に活動することのありがたさをわかるし、ロストロポービッチ、ショスタコービッチ、リヒテルなどの芸術家が戦後のソ連激動の生活をしていたことが垣間見れる2017/09/24