内容説明
血も凍る拷問と虐殺の数々。核実験場にされるウイグル自治区。国内外で荒れくるう中国の少数民族弾圧のすさまじい実態を、命がけで亡命した者たちから聞き出した、戦慄の記録。ノーベル平和賞有力候補ラビア・カーディル女史たちが中国を告発する。
目次
第1章 ラビア・カーディル―大富豪から投獄、亡命を経て東トルキスタン独立運動の女性リーダーへ
第2章 ドルクン・エイサ―「世界ウイグル会議」秘書長
第3章 イリ事件を語る―アブドゥサラム・ハビブッラ、アブリミット・トゥルスン
第4章 シルクロードに撒布された「死の灰」―核実験の後遺症を告発した医師アニワル・トフティ
第5章 グアンタナモ基地に囚われたウイグル人たち
第6章 政治犯として獄中にある東大院生―トフティ・テュニヤズ
著者等紹介
水谷尚子[ミズタニナオコ]
1966年生まれ。日本女子大学大学院博士課程単位取得満期退学。近現代日中関係史が専門。中国人民大学、復旦大学などへ留学。現在、中央大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sayan
34
昨秋、某雑誌に連載されていた「ウイグル日記(川嶋久人)」を読む機会があった。一帯一路政策下にある新疆を訪れウイグル族への取材(2019年)をまとめる。活気のある町はなく、ウイグル語の挨拶もわずかとなり、社会の全体主義化が進む、と川嶋は言う。そういえば、10年前に、港区の某大使館の前でデモがあった際に、世界ウイグル会議と関連付けての報道があったな、と思いだし本書を手に取る。内容は、亡命(つまり難民となった)「人」に焦点をあてる。その記述は、国安法違反に伴う民主活動家が逮捕されたケースと重なる点が少なくない。2021/01/17
けいご
31
僕は「人が人を迫害してもいい」なんて教わってこなかったからよく分からないのですが、中国共産党では何時どのようなタイミングでそれを子供達に教え、後世へ伝えて行くのでしょうか?多分ですが、暴力の下では人間は育たないと思うのです。最初は怖くて言う事聞くかも知れません。ただ、いつか仕返しをしたくなると思うんです。どんな人も嫌な事をする人を好きになるなんてとても難しいと思います。だからどうか「人と人は認め合うもの」「一人一人違って当たり前」と言う考え方もこの世界には存在する事を子供達へ教えてあげて下さい。2022/11/15
スー
22
2007年の本で海外に逃れたウイグル人達からの証言です。今まで読んだ中ではまだ軽い方でしたがやはり酷いです。特に核の実験のせいで多くの人達が苦しんでいる本当に酷い。ここから更に酷くなり歯止めが効かない状態になっている、最近中国のウイグル人の資料が出た、もう中国は言い逃れ出来ないだろう、今後事態が良くなりウイグル人達が開放されるのを願うしかない。2022/05/25
carl
18
知識を得ようと読みました。21世紀の話ではないようなひどさを感じます。もっと知らなければならないと思った。2019/10/03
寝落ち6段
13
中国共産党は、ウイグルへの弾圧を続けている。本書の発刊が2007年。もう15年近く経つのだが、ウイグル語の教育や生活様式の制限をより厳しくし、この時よりひどい状況なのではないかと思うが、如何せん、ウイグルの情報、報道があまりにも少なく、判然としない。未だに、覇権主義的、国家主義的な政治姿勢を続行する中国。恐らくこのまま弾圧は更に苛烈になるだろう。本当なこの非人道的行為に対し、各国家が声明を出すべきなのに、出さないのが本当に虚しい。2021/02/24