出版社内容情報
ムソリーニはベネチア宮殿とコロッセウムを結び、自らの姿を古代ローマの栄光に重ね合わせた。ヒトラーはベルリンの巨大な都市改造を志した――。独裁者たちが「建築」に託した夢を世界的な視野で辿る。一方、戦時下の日本に現れたのはバラックの群れだった。日本は“ファシズム”だったのか?
建築からファシズムの正体が明らかになる!
内容説明
ヒトラー、ムソリーニ…独裁者たちは「建築」を通じて民衆へうったえかけ続けた。一方、「日本ファシズム」が生んだ風景はバラックの群れだった。建築が明らかにする全体主義の正体。
目次
ファシズムは強く、そして新しく
ベルリンを南北につらぬいて
かがやく第三帝国
建築家と独裁者
スターリンとフルシチョフ
モスクワから東京へ
東京にバラックを
紀元は二千六百年
広島に大東亜共栄圏の影を見る
城と寺の瓦屋根
大連から新京へ
蒋介石から毛沢東へいたるまで
著者等紹介
井上章一[イノウエショウイチ]
評論家、国際日本文化研究センター勤務。1955年京都市に生まれる。京都大学工学部卒業、同大学院修士課程修了。風俗史を中心にして、幅広い分野で執筆を行う。『南蛮幻想』(文藝春秋)で芸術選奨文部大臣賞、『つくられた桂離宮神話』(弘文堂、講談社学術文庫)でサントリー学芸賞を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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zumi
5
建築・都市計画に投影された全体主義の思想を読み取る。一概に「ファシズム」と一括りにしてはいけない。例えば、「日本ファシズム」は都市を戦争一色に染めた。そこには、瓦を使うような、いわゆる和風あるいは擬古風的建築を排除した。一方、イタリアやドイツは、とりあえず巨大なものや新しいもので、大衆に「我々の民族はこんなにも力強い」ことをアピールした。それは、例えばスターリン体制のモスクワの超高層建築のような形として表すこともある。建築に光を当てることで、政治を違った角度から見ることができる一冊。図版も多く読みやすい。2014/02/03
Gen Kato
4
建築、街づくりを通してイタリア、ドイツ、ソ連、日本、中国の独裁者および「ファシズム」を考察する。日本で帝冠様式が広まるあたり、ことに興味深く読んだ。「ファシズムは、無言の圧力を、さまざまな形でくわえてくる」…読んでいて首筋がひやりとする思い。2018/11/25
山茶花
2
題名がアレだが、全体主義体制下で建設された建築群についての本。2007/04/30
メルセ・ひすい
2
8-02 赤 ★5 読みやすい。電車でどうぞ・・ 全て変質者・・ヒトラー、ムソリーニ、毛沢東…。20世紀の独裁者たちが「建築」へ託した情熱と夢に、建築家はいかに応えたか。そして軍国日本はなぜバラック建築に固執したのか。建築が明らかにする全体主義の正体。2006/11/16
ami
1
全体主義内での建築の話2018/01/09