出版社内容情報
なぜ日本人は米食を悲願としてきたか。コメは我々の日常をどう変えたか。もしコメがなかったら? 政治・経済・社会を貫く画期的通史。
内容説明
イモ、雑穀、獣肉…。さまざまな食物のなかで、どうしてコメだけが聖なる地位を獲得できたのか。コメの魔力と味覚の虜になった日本人の思考と心性のあり方をひもとく。
目次
序章 コメの力と起源
第1章 日本列島へ―縄文と弥生のコメ
第2章 社会システムを変える―弥生の戦争とクニ
第3章 統一国家を築く―古墳から古代国家へ
第4章 社会の主役へ―中世の社会とコメ志向
第5章 経済の根本を担う―石高制社会の成立と性格
第6章 西洋的近代化のなかで―国家と食生活の基礎
第7章 政治と文化の狭間で―コメ政策と食文化の変容
著者等紹介
原田信男[ハラダノブオ]
1949年、栃木県生まれ。明治大学文学部卒業。明治大学大学院博士後期課程修了。博士(史学・明治大学)。札幌大学女子短大教授を経て、国士舘大学21世紀アジア学部教授。ウィーン大学日本学研究所、国際日本文化研究センターなどの客員教授を歴任。主な著書に『江戸の料理史』(サントリー学芸賞)、『歴史のなかの米と肉』(小泉八雲賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユウユウ
4
今も昔も米不足の原因は…2025/06/30
うえ
3
「室町期は…はじめは守護大名、のちには戦国大名が、それぞれ独自な領国を形成していった。そして、その経済的基盤を水田つまりコメに求めた。これに呼応して、すでに室町期の農村においては、水田稲作を積極的に展開しうるだけの優れた稲作技術が蓄えられていた。それは当時の日本を観察した朝鮮人使節の記録から窺える。…また中央の政治都市・京都でも、すでに中世後期にはコメ流通のシステムが形成されていた…コメ商人の数は一二◯余人に及んだといい、コメの価格操作が行われており、飢饉など…しばしば米価の高騰という現象が起こっている」2025/06/15
こにいせ
3
コメからみる日本の経済・社会通史。農学・歴史学・経済学と多様な切り口から広がる話は、これぞ新書!!という内容。ただ、消化不良なところもある。例えば、平成のコメ騒動における、過剰なまでの「ジャポニカ米」へのこだわりは、「長年食べられてきたから」では済まされない。「インディカ米」が嫌なら、パン食えばいいし、台湾・中国からでも輸入出来たのではないか。その辺の、「日本米」への日本人のメンタリティは、筆者も挙げてはいるが、米食の肉食に対する「穢れ」信仰が現代日本で変質した形で吹き出しているとはいえないだろうか。2009/10/13
活字の旅遊人
2
政治的、制度的な切り口。
つるる
2
何でこんなに米が好きなんだろう、と不思議に思うほど、原田信男は米と日本人の関係を研究しています。 彼が丁寧に描き出した日本人の米との関わり方は、米を自由に食べられるようになる依然と以後とでだいぶ差があるように感じられました。 今でも米を日本の主食とし、田んぼを原風景とする向きもあるにはあるけれど、パンや麺類など小麦粉を使った主食に押されていることは事実であり、減反も進む一方です。 私も原田氏にはおよばないものの米が好きなので、日本人の米離れに心を痛めています。 嗚呼、この国の未来はどうなるのやら。