内容説明
かつてヨーロッパ人にとって中国の不思議な飲み物は、神秘の薬・王侯貴族のステイタスであった。英国人はやがてその茶に二つの種類があることを知る。一つは緑茶、一つはもっと深い色で、見も知らぬ南国のフルーツの香りがした。この茶を求めて、英国は国家経済を揺るがせ、戦争を起こし、ついには世界をまたぐ帝国を築いてゆく…。紅茶誕生の数奇なドラマと、その影の知られざるアジアの真実を追って各地に取材した、紅茶ファン必読の一冊。
目次
第1章 イギリス人、茶を知る
第2章 紅茶誕生の謎
第3章 イギリス人、紅茶を買う
第4章 茶の起源
第5章 茶馬古道
第6章 イギリス人、紅茶を飲み続ける
第7章 イギリス人、紅茶を作る
第8章 セイロン紅茶の立志伝
第9章 アメリカの発明品
第10章 紅茶輸出国と、紅茶消費国
第11章 イギリス人と紅茶の行方
著者等紹介
磯淵猛[イソブチタケシ]
1951年愛媛県生まれ。青山学院大学卒業後、商社勤務を経て、1979年紅茶専門店ディンブラを開業。紅茶の輸入、レシピの開発、技術指導、経営アドバイス、紅茶研究の分野で新聞やテレビなどでも活躍
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
93
イギリスと紅茶の歴史。戦争、阿片などの話題がでてくる。 紅茶を飲みながら、読むとよい。 紅茶に大きな変遷があったことが分かる。2014/06/08
デビっちん
36
神秘の薬としてヨーロッパ諸国に伝わった不思議な飲み物は、英国経済 を揺るがせ、戦争を起こし、世界をまたぐ存在になっていったようです。紅茶と言うとスタイリッシュで洗練されたものを連想してしまいますが、その誕生には数奇なドラマがあったんですね。紅茶を切り口に、世界の文化や経済の変遷を見ることができました。2017/12/04
T2y@
32
紅茶に留まらず、ルーツである中国茶の歴史と深い考察に、著者の紅茶愛を感じる。 ボストン茶会事件、アヘン戦争も紅茶国であるイギリスを軸としたものであり、植民地政策によるアジアでの紅茶生産は今に続く。踏まえ、紅茶を通じた近代史のイギリス影響力を改めて認識。 また、ウイットさ・アイデア・情熱を持って、その名を冠する紅茶を育てた、トーマス・リプトンの立身伝もまた味わい深い。2014/08/05
あなほりふくろう
26
お茶の歴史と豊富なトリビアの塊であり、紅茶を通してみる近代英国史であり。清教徒~産業革命のころの英国を一片でもと目論んでいたので、これはピッタリであった。茶税への反発からティーパーティー事件~米独立戦争か、莫大な茶代の支払いを阿片で賄おうとしてアヘン戦争か、あのころのエゲレス人は色々やらかしていて楽しいなあ(苦笑) 一方でチャールズ・ブルースのアッサムでの取り組みや、正山小種からラプサンスーチョン~アールグレイの流れは興味深いものであった。2014/06/17
鐵太郎
17
紅茶に関する楽しいあれこれです。2003年6月24日、英国王立科学協会が、科学的に立証された「完璧な紅茶のいれ方」を発表したそうな。その中で、150年にわたって論争となっていたMIF(ミルク・イン・ファースト ─ 紅茶より先にミルクを入れる)とMIA(ミルク・イン・アフター ─ ミルクより先に紅茶を入れる)論争に決着がついたのだそうな。しかも、科学的に立証されたとか。いいですねぇ、こんなマニアックな楽しみがあって。2007/08/19