文春新書
富士山の文学

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  • サイズ 新書判/ページ数 302p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166604043
  • NDC分類 910.2
  • Cコード C0295

内容説明

万葉集に「日の本の大和の国の鎮めともいます神かも宝ともなれる山かも駿河なる富士の高嶺は見れど飽かぬかも」と歌われ、あるいは呪われた風雪の山として、噴火の煙を燃える恋の象徴として、物語や歌に記され続けてきた富士山。また近代には民族主義の象徴として、戦後には野性や欲望の象徴としても描かれた富士山。日本人は富士山にどのように心動かされ、それをどう言葉に表現してきたか、古今の約五〇の作品から振り返る。

目次

「聖徳太子伝説」―天駆ける黒駒
『常陸国風土記』―神祖の呪い
「役行者伝説」―信仰の山
『万葉集』―歌い継がれる国の鎮め
都良香の「富士山記」―火山活動の情報
『古今和歌集』―燃ゆる思いは噴火の煙
『伊勢物語』―時知らぬ山
『竹取物語』―帝のとどかぬ想い
『源氏物語』―遠い国の珍しい山
『更級日記』―地元の信仰と奇譚〔ほか〕

著者等紹介

久保田淳[クボタジュン]
1933年東京生まれ。東京大学大学院博士課程修了。文学博士。東京大学教授、白百合女子大学教授を経て、現在東京大学名誉教授。専門は中世文学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Shin

0
富士山を見に行ったのに見えなくて残念、と思っている時に売店で目に止まって買った本。富士山というテーマが、日本の文学史の中でどのように捉えられてきたかを時代を追って辿ることができ、興味深かった。和歌の専門家ということで和歌が多いが、そのぶん、同じ形式の文学でも捉えられ方が変わってきていることがよく分かる。個人的には、夏目漱石の『虞美人草』での描写に漱石の凄みを感じたかな。あまり安易な再生産は良くないが、同じような切り口で「◯◯の文学」シリーズにしたら面白そう。2011/05/01

ほたぴょん

0
久保田先生は中世の和歌を専門とする研究者。私も大学の頃に随分お世話になりました。上古以前から現代まで、富士山を主題に幅広く文献を渉猟されていますが、やはり中世以前の和歌に関する文章に蒙をひらかれるものが多い。赤人の「田子の浦」の歌は、元は国褒めの歌である長歌の反歌として、常に雪を戴いている富士山を「時知らぬ山」として歌ったものであるから、新古今がこれを冬の歌として採ったのは赤人の意を汲まないものである、とするのは目から鱗が落ちました。2010/04/23

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