内容説明
万葉集に「日の本の大和の国の鎮めともいます神かも宝ともなれる山かも駿河なる富士の高嶺は見れど飽かぬかも」と歌われ、あるいは呪われた風雪の山として、噴火の煙を燃える恋の象徴として、物語や歌に記され続けてきた富士山。また近代には民族主義の象徴として、戦後には野性や欲望の象徴としても描かれた富士山。日本人は富士山にどのように心動かされ、それをどう言葉に表現してきたか、古今の約五〇の作品から振り返る。
目次
「聖徳太子伝説」―天駆ける黒駒
『常陸国風土記』―神祖の呪い
「役行者伝説」―信仰の山
『万葉集』―歌い継がれる国の鎮め
都良香の「富士山記」―火山活動の情報
『古今和歌集』―燃ゆる思いは噴火の煙
『伊勢物語』―時知らぬ山
『竹取物語』―帝のとどかぬ想い
『源氏物語』―遠い国の珍しい山
『更級日記』―地元の信仰と奇譚〔ほか〕
著者等紹介
久保田淳[クボタジュン]
1933年東京生まれ。東京大学大学院博士課程修了。文学博士。東京大学教授、白百合女子大学教授を経て、現在東京大学名誉教授。専門は中世文学
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