内容説明
“記紀以前の書”といった荒唐無稽な偽書のたぐいには、意外にも正史には見られぬような精彩のある歴史像が描かれている。超国家主義者と深くかかわる『上記』『竹内文献』、東北幻想が生んだ『東日流外三郡誌』『秀真伝』など、本書では世間を騒がせた「太古文献」と呼ばれる偽書を取り上げ、ただあげつらうのではなく、どのようなメカニズムで人々の興奮を掻き立てて来たのかを検証し、人はなぜ偽書に魅せられるのか、その謎を詳細にさぐる。
目次
1 人はなぜ偽書せ信じるのか(歴史の偽書だけが生き残った;偽書には正史にない魅力が ほか)
2 超国家主義者と二大偽書―『上記』と『竹内文献』(超国家主義者と『上記』;内務卿大久保利通に上呈 ほか)
3 東北幻想が生んだ偽書―『東日流外三郡誌』と『秀真伝』(東北の風土には怪しげな伝説の土壌があるのか;盛岡市のマルコ=ポーロの像 ほか)
4 「記紀」の前史を名のる偽書―『先代旧事本紀』と『先代旧事本紀大成経』(本邦初の史書は『先代旧事本紀』?;『古事記』をしのぐ影響力 ほか)
5 偽書の何が人をひきつけるのか(人をひきつける不思議なもの;二つのキーワード ほか)
著者等紹介
藤原明[フジワラアキラ]
1958年、東京都生まれ。医学・自然科学系の出版社の編集者として10年間勤務の後、独立。ノンフィクションライター。評価の定まらない史料や怪しげな伝承・文献などが一人歩きする経緯について、独自の研究を続けている
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